Category "トピック"

1.アップル社に対するEUの税務調査

時価総額ベースでGoogleを抑えて世界最大、直近の連結売上高も2,300億ドル(約28兆円)と巨大なIT企業である米国アップル社ですが、その業績を牽引しているiPhoneの販売が減速気味で大幅な生産調整を行うとの観測も出ています。そのような中、同社が欧州で巨額の追徴課税リスクに直面しています。

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BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトにおける行動13のOECD最終報告「移転価格文書化」では、マスターファイル、ローカルファイル、CbC(Country-by-Country)レポートという3層構造の移転価格文書化が行われるべき事が示されました。これを受けて、関係各国は自国の移転価格税制を改正する必要に迫られています。米国IRSは2015年12月21日にCbCレポート規則案(REG-109822-15)を発表しました。 […]

2015年10月5日付で経済協力開発機構(OECD)は、G20との共同で行うBEPS (Base Erosion and Profit Shifting、“税源浸食と所得の移転”の意)対策プロジェクトの総括として、最終報告書パッケージを公表しました。2013年7月に15項目の行動計画を公表(TOPIC 13-15参照)してから約2年強という短い期間でそれら15項目全ての最終報告書が揃ったことになり、アグレッシブな租税回避スキームを撲滅したい各国の強い意欲がうかがえます。
最終報告書パッケージは合計1,900ページ超という膨大な量ですが、本稿ではその中でも特に重要性が高く、最終報告書の随所に織込まれ、日系企業にも関連すると思われる移転価格関連の2つのテーマについて紹介します。
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経済協力開発機構(OECD)とG20諸国が共同で推進しているBEPS(Base Erosion and Profit Shifting、税源浸食と所得の移転)に対する15項目の行動計画(以下“BEPSプロジェクト”)のうち行動13「移転価格文書及び国別報告書(Country-by-Country report、以下“CbCレポート”)」に関しては、昨年9月にOECDにより第一次提言が発表され、移転価格文書の同時文書化を関係各国が導入する事が強く推奨されました。
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ニューヨーク州の2014年- 2015年度の予算が2014年3月31日に可決され、翌日にアンドリュー クオモ州知事が署名致しました。この予算の中にニューヨーク州の州税の改正があります。この中で特に事業税 (Franchise tax) に関する改正に付いて説明致します。

ニューヨーク州の税法は銀行 (Article 32) と一般事業会社 (Article 9-A) に関する税法が別でしたが、銀行に関する税法が一般事業会社の税法に統合されて一本化されました。
事業税は、事業所得 (Business income) 、事業資本 (Business capital) または最低税金 (Minimum tax) のうち、最も高い税金を支払うことになりました。
代替ミニマム税 (Alternative minimum tax) と子会社資本税 (Subsidiary capital tax ) は廃止されました。 […]

Windows、エクセル、ワード等々私たちが日頃当たり前のように仕事で使っているソフトウェアを提供している会社であり、ご存知米国IT業界の巨星であるマイクロソフト社が、税務調査の過程におけるIRS(米国内国歳入庁)との争いについて最近メデイアで頻繁に報道されています。それら一連の記事を整理し、以下簡単にまとめてみました。

背景:移転価格税務調査

マイクロソフトはIRSより2004-2006年度に関して未だに税務調査を受けています。米国における税務調査の時効は通常3年ですが、IRSが延長に次ぐ延長で税務調査を引き延ばしているようです。その主な対象は同社がプエルトリコ(米国自治連邦区)と英領バミューダにある子会社との間で行っていたコストシェアリング取引(研究開発費等無形資産創出に貢献した費用を関連会社間で分担する取引)です。IRSの思惑通りに最終的に課税が行われれば、マイクロソフトの所得更正額は数十億ドル(数千億円)単位になる模様です。 […]

アメリカでは外国株主が25%以上所有する会社についての情報を外国企業を扱うユタ州の特別の内国歳入庁(Internal Revenue Service- IRS)の事務所へフォーム5472で報告することになっております(税法6038A,6039C)。日系の米国子会社にはおなじみのフォームです。日本の親会社の名前、所在地、事業内容などの情報のほかに、親子、関連会社間の取引、例えば、売り上げ、受取る賃料、ロイヤリテイー、ライセンス料、フィー、コミッション、借入金残高、金利、保険料、その他の受取り所得、又、仕入れ、支払う賃料、ロイヤリテイー、ライセンス料、フィー、コミッション、貸付金、金利、保険料、その他の支払い経費を報告することになっております。規則では、このフォーム5472をユタ州の税務署にまず提出し、 […]

2014年は、OECD(経済協力開発機構)におけるBEPS(税源浸食と利益移転)対策プロジェクトの急速な進展に連動して、移転価格に関するOECDガイドラインの改定案や討議草案(Discussion Draft)が数多く発行されました。先月紹介した企業グループ間サービス取引(11/3付)に続き、12月には3本の討議草案が公表されました。それら3本の内、今回は、利益分割法に関する討議草案(12/16付)について紹介します。 […]

日本においては、最近の移転価格課税は大企業向けの巨額な案件から中小企業向けの小口案件にシフトしています。国税庁統計によると、1件当たり平均更正所得額は、2004年度26億円、2005年度24億円から、2010年度4.8億円、2011年度4.6億円と、近年明らかに小口化しています。
  一方、米国では日本のような移転価格課税に関する詳細な統計データはありませんが、報道を見る限り大企業、特に利益率の高い優良企業への巨額の課税案件が最近更に増えている印象があります。日本も米国も税務当局は移転価格をはじめとする国際課税部門の執行体制を近年益々強化していますが、日本の執行強化が主に課税件数増加に向けられているのに対し、IRSは大型案件への巨額の更正課税に注力している事が窺えます。それら最近行われた米国の巨額な移転価格課税の多くは納税者が提訴することにより公になっておりますが、それら訴訟の多くは遅々として進んでいません。中には、IRSと納税者企業が本訴以外の副次的な要因(情報開示の問題、挙証責任の所在等)でバトルを展開しているケースもあります。以下、主な案件の近況をまとめた税務専門誌の記事から、概要を紹介します。
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 モスクワにおけるG20財務相会議の開幕日である7月19日、経済協力開発機構(OECD)のガリア事務総長は、税源浸食と所得の移転(Base Erosion and Profit Shifting、以下“BEPS”)に対するアクション・プラン報告書を発表しました。米国系を中心とする多国籍企業が所得を低税率国に移転するアグレッシブな節税の実態が最近相次いで明らかになってきたことを受け、OECDはBEPSの問題に本格的に取り組み始め、今年2月に初のBEPS報告書を発表、租税回避を発生させる様々な要因を分析しましたが、今回報告書では15項目の対策案(以下概要を記載)が発表されました。

(1)デジタル経済
納税義務が無い国における企業の電子上の存在、電子商品・サービス使用に関する各地域データの価値の帰属、新たなビジネスモデルから生じる所得の性質等について調査する。
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