IRSが油圧機器等の部品メーカーであるEaton CorporationとのAPAを取消し、且つ同社に対し移転価格課税を行った件で、米国租税裁判所は6月26日、IRSの交差請求に対し、IRS側の主張を認める判決を言い渡しました。
本係争の背景については2012年10月の記事(TOPIC 12-20参照)に詳述しましたが、概要は以下の通りです。
1.背景の概要
IRSは、Eaton社との間で2001~2005年度(第1回)、及び2006~2010年度(第2回)の計2回10年間にわたり、主に同社のプエルトリコにおけるブレーカー製造子会社との関連者間取引価格に関してUnilateralの事前価格合意(Advance Pricing Agreement、以下“APA”)を締結していました。ところがIRSは2011年末にかけてこれら過去2回のAPAを一方的に取消し、且つ2005-2006年度について同社に対する移転価格更正課税を行い、追徴税額及びペナルティ合計で$127百万(1$=99円換算で約125億円)の支払を命じました。
Eaton社は同課税処分を不服として2012年2月に租税裁判所に提訴し、またIRSとの間で締結した2つのAPAは現在でも有効であり、APAはそれを取消すことが出来る正当な理由を示す挙証責任を負うべきであるとの部分略式請求を租税裁判所に行いました。それに対しIRSは2012年8月、Eaton社はIRSによるAPA取消しが不当であることを示す挙証責任を負うべきであるとの交差請求を租税裁判所に提出しました。
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