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トランプ大統領の2021年度予算とマイクロキャプテイブ保険会社の濫用防止の対策

トランプ大統領が2021年度の予算を発表いたしました。その中で注目されるのが相続税と個人の所得税減税の延長です。これらの減税は2017年の大統領の減税策 (2017 Tax Cuts and Jobs Act (P.L. 115-97 : TCJA)) の中に記載されておりました。個人所得税については10%から37%までの累進課税になっておりますが、独身者の場合、最高税率の37%が適用されるのは50万ドル以上、夫婦合算申告をする納税者の場合には60万ドル以上、夫婦個別申告をする人の場合は最高税率は37%、適用されるのは30万ドル以上になっております。この改正以前の最高税率は39.6%、適用されるのは独身者の場合41万8400ドル、 夫婦合算申告者の場合最高税率は39.6%、適用されるのは47万700ドル、夫婦個別申告をする人の場合には最高税率は39.6%、適用されるのは235,350ドルからになっておりましたので、改正税法でかなりの減税になったことになります。そしてこの改正税率が適用されるのは2025年までということになっていたのですが、今回、この適用年度を10年延ばして、2035年までとするのです。
相続税については、今回の予算の中では、最高税率は37%になっており、適用されるのは課税所得が1,250万ドルを超過する部分になります。 改正前の相続税の最高税率は39.6%であったので、2.6%の減税になります。適用される課税所得は1,250万ドルで変わりはありません。
大統領の予算 は120億ドルですが、特にインフォメーション テクノロジーの近代化を図るために3億ドルの予算を充当することになっております。その他、納税者が税務署と連絡する時に使う為に安全に、又、電子的に交信が可能になるような対策を講じることになっております。税務署が納税者と交信する場合の方法をデジタル化することによって納税者が税務署により迅速に、より正確に対応できるのです。また税務署の電話の ライン にコール バックの機能装置を設置いたします。今まで税務署に電話をすると長時間待たされるのが常でありましたので、効率が大変に良くなるわけです。その他、税務調査などの作業を円滑にするために資金を追加投資することを計画しております。 この結果、税務署としては796億ドルの追加の収入が発生することが予想され、コストが155億ドルですから、646億ドルのコスト セービングが将来10年にわたって発生することになるのです。その他には税務申告書作成する税理士、その他の人の監督を強化したり、税金を還付する前に申告書の過ちをチェックする権限を税務署に与えることを考えております。また税額控除などを申請する時に正式な社会保障番号を提供させたり、給料やその他の情報の報告を 要請します。

マイクロキャプティブ保険に参加する人たちへの対策

2014年にマイクロキャプティブ保険の取引が出現して以来、税務署 (Internal Revenue Service- IRS) はこの取引が濫用されることを心配しておりました。 このマイクロキャプティブ保険取引というのは、関連会社のグループの中でキャプティブ保険会社が会社の保険契約を使って課税所得を故意に削減しようとする取引です。この 取引では、契約の元で被保険会社が保険料支払いを経費として控除します。そして、キャプテイブ保険会社が税法831条によって課税は投資取得に限定することを選択します。この方法によると、キャプテイブ保険会社が受け取るプレミアムが課税所得から除外されることになるのです。税務署はこのようなマイクロキャプティブ保険取引は、脱税の可能性があると結論ずけたのです。
税務署はこのマイクロキャプティブ保険やその他の脱税取引の監督を強化することを発表しました。税務署は新たに12の調査グループのチームを設置いたしました。彼らは税務署の大規模企業グループ、国際グループまた中小企業、自営業者グループの中から人員を調達して、税務調査の強化を図ったのです。税務署は、この通達でマイクロキャプティブ保険取引に参加している会社は税務署の特別部門 (Office of Tax Shelter Analysis) に報告することを義務付けました。
また適切な開示を怠った場合には、多額のペナルティが課されることになっております。このような取引に関与している会社は、対策について信頼おける税務アドバイザーに早急に相談することを奨励しております。タックス ヘイブンの国に設立されたキャプテイブ保険会社が無くなる日が来るのかもしれません。

山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
2/19/2020

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