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ニューヨーク州の税法改正

ニューヨーク州の2014年- 2015年度の予算が2014年3月31日に可決され、翌日にアンドリュー クオモ州知事が署名致しました。この予算の中にニューヨーク州の州税の改正があります。この中で特に事業税 (Franchise tax) に関する改正に付いて説明致します。

ニューヨーク州の税法は銀行 (Article 32) と一般事業会社 (Article 9-A) に関する税法が別でしたが、銀行に関する税法が一般事業会社の税法に統合されて一本化されました。
事業税は、事業所得 (Business income) 、事業資本 (Business capital) または最低税金 (Minimum tax) のうち、最も高い税金を支払うことになりました。
代替ミニマム税 (Alternative minimum tax) と子会社資本税 (Subsidiary capital tax ) は廃止されました。
資本をベースにする税金 (Capital base tax) は2016年1月1日から始まる6年間で徐々に廃止されます。
ニューヨーク州の事業税は、現在7.1パーセントですが、この税率が2016年1月1日より、6.5パーセントに低減されます。更にニューヨーク州の“適格製造業者”に対する事業税が2014年1月1日以降に始まる年度から廃止されます。
都市交通局の加算税 (Metropolitan Transportation Authority – MTA – Surcharge) は暫定的な税金でしたが、これが恒久化されます。計算の方法は、税額控除前の事業税に一定の税率を掛けて算出します。この加算税は、固定資産、売り上げ、給与の3要素の全体に対する比率の単純平均率を課税所得に掛けて計算します。加算される税金の率は17パーセントでしたが、2015年は25.6パーセントです。それ以降に付いては、コミッショナーの判断で変更されることがあるかもしれません。

ニューヨーク州の事業税と都市加算税が掛かるか否かの判断は、ニューヨーク州で事業を営んでいるかが鍵になりますが、この基準 (Nexus rule) が拡大解釈されます。以前は、この基準は、ニューヨーク州内に事務所を持っているか、在庫を持っているか、従業員を雇っているか、給与を払っているかなどの要素が判断の基準でした。これが、今回の改正では、ニューヨーク州内で100万㌦以上の売り上げがある会社が対象になることになります。即ち、ニューヨーク州内に事務所も無く、従業員も居ない場合にでも、もしニューヨーク州内の顧客への売り上げが100万㌦以上ある場合には、その会社はニューヨーク州の事業税の対象になるということです。
所得は事業所得、投資所得、その他の免除所得の三つからなりますが、その中の投資所得とその他の免除所得については事業税の対照から除外することになりました。子会社資本と事業所得の取り扱いを別にすることも中止されました。

金利費用は投資所得に直接、間接に賦課することが要求され、金利費用が投資所得を上回る場合には、超過分は総所得に加算することが要求されます。或いは超過分の40パーセントを投資所得から減額することも出来ます。
複数の州に事業所などがある会社の場合、ニューヨーク州は、他の州と違ってニューヨーク州の顧客に対する売り上げの比率だけを使って所得の按分をします。
2015年以前に発生した欠損金は繰り延べして利益との相殺が可能です。繰り戻しは3年前まで出来ますが、2015年又はそれ以降に発生した損失は、2015年以前に繰り戻すことは出来ません。
関連するビジネスに従事し、50パーセント以上の持分がある場合、合算納税が必要になります。その他、地域特有の税額控除もありますので、ご注意ください。

 

山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
2/16/2015

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