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25%以上外国株主の会社情報に関する規則

アメリカでは外国株主が25%以上所有する会社についての情報を外国企業を扱うユタ州の特別の内国歳入庁(Internal Revenue Service- IRS)の事務所へフォーム5472で報告することになっております(税法6038A,6039C)。日系の米国子会社にはおなじみのフォームです。日本の親会社の名前、所在地、事業内容などの情報のほかに、親子、関連会社間の取引、例えば、売り上げ、受取る賃料、ロイヤリテイー、ライセンス料、フィー、コミッション、借入金残高、金利、保険料、その他の受取り所得、又、仕入れ、支払う賃料、ロイヤリテイー、ライセンス料、フィー、コミッション、貸付金、金利、保険料、その他の支払い経費を報告することになっております。規則では、このフォーム5472をユタ州の税務署にまず提出し、再度、法人税の申告書にこのフォームを添付して提出するという二重のステップを要しておりました。25%以上の外国株主が二つ以上ある場合には、各々、別途にこのフォーム5472の提出しなければならないのです。最初にフォーム5472をユタ州の税務署へ提出することを忘れると、1万ドルのペナルテイーが課されることになっており、ペナルテイーの通知が来て、納税者を驚かせることがしばしばあったのです。このペナルテイーは大変厳しく納税者泣かせでした。逆に、最初にフォーム5472を締め切り日までに提出している場合には、このフォームを添付した法人税申告書の提出が遅延しても、ペナルテイーが免除されることになっていたのです。

2014年12月24日、内国歳入庁(Internal Revenue Service – IRS)は、このフォーム5472に関する新しい通達 (T.D. 9707) を発表しました。この通達では、2014年6月6日に提案されていた通達の内容をそのまま受け継いで、フォーム5472を期限以内に提出した場合には、このフォームを添付した法人税申告書の提出が遅れても、ペナルテイーは課さないという規則を廃止しました。その代わりに、このフォーム5472は法人税申告書に必ず添付して提出することにしたのです。わざわざ別途にフォーム5472を税務署に送る必要が無くなり、フォームの提出を一本化したのです。もともとこの種のフォームは法人税申告書に添付するのが一般的なので、外国法人に関する情報だけを特別に別途提出するのは異例であったのであり、IRSは、やっと二重の手間を省いてくれたという訳です。

特別項目の表示の廃止

財務諸表の表示で災害、事故などの異常事態(Extraordinary Item) が発生した場合には、その異常事態が“異常でありなお且つ稀にしか起きない-Unusual and Infrequent”と言う二つの条件を満たす場合に損益計算書上では、通常の損益を計上した後に、災害、事故などによる損失を特別項目として掲載することが普通でした。しかも税引き後の損失額を計上し、脚注の表示も必要でした。しかし財務会計基準審議会 (Financial Accounting Standard Board – FASB)では、この特別項目の表示を廃止することにしました。この廃止は会計基準アップデートNo.2015-01損益計算書 – 特別項目(Accounting Standards Update No.2015-01,)に記載されております。現実には、この二つの条件を満たす事象は稀であり、事象が異常であるか否かについて会社は事象を調査して異常であるか否かについて判断するのに時間を費やしていたのです。この異常項目の廃止は2015年12月15日以降に終了する年度から適用されます。この規則は過去の年度に遡って適用することも許されており、又、早期に適用することも許されております。FASBの会計の簡素化は歓迎です。

 

山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
1/18/2015

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