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アメリカの市民権、永住権放棄年度の報告義務

アメリカの市民権を保有する人達やアメリカの永住権を保有する人たちが、最終的に 市民権や永住権を放棄することがあります。 アメリカの税務署はこのような人たちがアメリカで税金を払わないでアメリカを離れることがないように報告書 (フォーム8854) を提出する規則を作っております。基本的に、外国人は、アメリカを離れた後は、アメリカの税金を払う必要はないのです。この報告書では、放棄の年度と過去5年間に特定の報酬額以上の報酬がなかったこと、保有する資産が一定額以下であれば、報告義務がないとされております (税法877条、877A条)。 最近、税務署はアメリカ市民や永住権者がアメリカの市民権、永住権を放棄する年度の資産の報告義務に関する税法877Aの条項を改正しました。
この 税法 877A条の規則のもとでは不動産などの資産をアメリカに所持している人の場合, アメリカの市民権、永住権を放棄する直前の不動産の時価での売却益から60万ドルを差し引いた額を仮定して税金を払うようにしておりましたが、最近発表された改正規則では、資産の純売却益が725,000ドルを超える額というように増額しました。この改正以前には、所有する不動産などについて、市民権、永住権を放棄する年度において、想定する資産の売却益から60万ドルを差し引いた税金を支払うこととなっておりましたので、かなり大きな金額を免除してくれるので、納税者にとっては朗報です。このアメリカの市民権や永住権の放棄年度の資産の報告義務に関する税法877Aが適用される対象になる人は ,市民権、永住権を放棄する前の5年間について特定額以上の税金(2019年は168,000ドル)を支払っていたこと、純資産が200万ドル以上所有していたこと、過去5年間で 申告書の提出や支払いをしたことを証明できない人となっております。例え所得税が168,000ドル以下であり、また純資産が200万ドル以下であったとしてもこの証明が出来ない場合には、このフォーム8854を提出することになります。このフォームは4ページあり、市民権、永住権の放棄した日、居住した国、アメリカ市民になった日、過去5年間の支払った税金額、保有する資産の明細、その資産の時価、コスト、売却損益、控除額を差し引いた後の売却損益額、繰延べる税金の額などを記入します。過去5年間に支払った所得税の税金の限度額は、2013年 157,000ドル、 2015年 160,000ドル、 2016年161,000ドル, 2017年162,000ドル 、2018年165,000ドルとなっております。この税金の額を超えない場合には、報告義務を免除されるのです。税金は所得税のみならず贈与税も含み、情報の報告だけをする申告書例えば外国に保有する特定金融資産 – フォーム8938も含みます。それからFBAR (Report of Foreign Bank and Financial Accounts) – と呼ばれるFinCEN Form 114 – 特定の外国に保有する金融資産の報告書も必要となります。税金申告書を提出していない場合、故意ではないことが必要です。故意ではない行為とは 、例えば単なる間違い、見逃しまたは誤解などが挙げられます。この報告義務を免除されるためには、過去5年間において所得税の限度額を超えていないことまた資産の額が市民権や永住権を放棄する時において200万ドルを超えていないことのほかに、過去5年間において税金が25,000ドルを超えていないこと、該当する過去5年間について要求される税金の申告書の全てを作成して提出することを約束するなどが挙げられます。 市民権や永住権を放棄する日直前の資産の売却益と言いましたが、次のものは例外として対象になりません。繰延べされた報酬や特定の税金繰延の勘定、信託の中の一部は例外とされております。永住権を保有する日本人は, 永住権を放棄する際に、このホーム8854を必ず作成して提出することを忘れてはなりません。

山口 猛、パ―トナー
Yamaguchi Lion LLP
9/28/2019

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