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アメリカの課税のベースになるネクサスの問題

ネクサス (Nexus) とは州が課税をする時のベースになるようなものです。その州の中で外国またはアメリカの中の州外の会社が課税されるために十分なビジネス活動を州の中で行なっているかの問題です。例えば、州の中で事務所を持っていたり、借りていたり,従業員を雇用していたり、在庫を所有していた場合に ネクサス があるとします。租税条約は国と国との条約なので州は必ずしも関係しません。 日本の会社は、租税条約の中の恒久的施設 (Permanent establishment) の条項に抵触しないかということを調べます。外国の会社は通常連邦税のためにはアメリカの中でビジネスを行い、実質的にアメリカのビジネスに関連した所得について課税されることになっております。そして租税条約の中の恒久的施設は事務所や工場などを意味しますので、この恒久的施設を通じて行うビジネスは連邦税の考え方と同じになります。この恒久的施設の定義の中の例外として、単なる商品の展示場や商品を倉庫に単に保管することなどは該当しないとしているのです。商品を陳列して顧客に見せたり、あるいは商品を倉庫に保管するだけでは、所得は生まれないからです。ということでアメリカの中にある州で事務所を持ち、在庫を抱えて販売活動を行ったり、サービス活動をした場合には、連邦のみならず州もその所得に対して課税することになります。しかしながら現在のインターネットを通じてのビジネスを行う環境の中では、この恒久的施設を通じてのビジネス活動という考え方が必ずしも役に立たなくなりました。一方、州は租税条約に縛られることなく、独自の考え方をいたします。各州の考え方を一つ一つ調べる必要があるのです。 州は税収を上げるために、 このネクサスの概念を州に有利になるように、できるだけ拡大するようにしているのです。
租税条約にある恒久的施設というような場所の考え方からさらに一歩進んで、経済的に州の中で課税の対象になる活動をしているかを調べるのです。例えば租税条約の恒久的施設の中では、商品の展示場あるいは商品を保管する倉庫などは除外されます。しかしながら、州はそのような活動を課税の対象と考え、港湾にコンテナ船を停泊させて、その中に商品を保持したり、倉庫に在庫を保有したり、トレードマークをその州内で顧客に使用させて収益をあげる場合にも、州は課税の対象となると考えるのです。
さらに州によっては物理的な場所の概念ばかりでなく 、経済的な観点から州内でビジネス活動を行っているのではないかと考えます。例えばトレードマークを保有する州内の会社が、その州の中で無形資産を使用するだけであるにも関わらず、課税の対象になると考えるのです。
又、各州を監督するところでは四つの条件又は要素が該当すれば課税するという考え方をしております。その基準の一つはその州の中で5万ドル以上の資産を保有すること、また5万ドル以上の給与を支払うこと、またその州内で50万ドル以上の売上を上げること、または会社の州内の資産、給与、販売額が各々の全体の25パーセントを超える場合には、その州はその会社を課税することが出来るとするのです。州によってはこの規則を利用し、同じ金額の基準を設定します。また別の州ではこの規則を利用しますが、金額は違ったものを設定します。又、代理人 (Agent) を州内で使用するか否かによっても課税するかどうかが決まります。この依頼人と代理人の関係は正式な契約書がなくても、州は諸般の事情を考慮して代理人が州内にいて、依頼人の為に営業活動をしているとして、課税するのです。 独立した代理人 (Independent contractor) の場合も、課税の対象になる活動が州内で行われていたと解釈するので気を付けなければなりません。
山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
6/20/2019

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