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Eコマース業者のセールス タックスの問題

セールス タックス (Sales tax)は売上税とも言われますが、商品を販売したり、サービスを提供した場合に最終の購買者、利用者 (End user)が支払わなければならない税金です。正式には、Sales and Use tax (売上税及び使用税)と呼ばれます。卸売りの場合には、税金の徴収は小売業者に転嫁されて、小売業者が最終購買者から税金を徴収して、税務署に払います。実は、この簡単なセールス タックスの徴収が、Eコマースの発達とともに大問題になったのです。

例えば、ある州の中の小さな小売店が商品の販売をすると、その州内に売ったセールス タックスをすべて徴収して州に支払います。ところがその州の中に事務所も従業員も在庫も持たないE コマースの大きな会社がオンライン販売で莫大な売り上げを達成しても、事務所も従業員も在庫もないからと言うことで1セントもセールス タックスを徴収したり、支払うことはしませんでした。本来であれば、セールス タックスを徴収されなければ、買った人が使用税を払わなければならないのですが、個人の消費者はどうせ分からないからと言うことで払いません。州は莫大なセールス タックスを取り損なっていたと言うのです。

そこでノースダコタ州が年に3回以上広告をして商品の販売をする会社は、セールス タックスを徴収する義務があるとしたのです。Quillと言う会社のケースです。州は二つの根拠をベースにしました。徴税をするためには、州内に事務所や従業員や在庫を持つことまではいかなくてもその州内の顧客に商品を販売する何らかの活動をしていたら課税するとしたのです (Due process clause-正当な手続き)。一方、州間でビジネスを行うような会社は議会が監督しますが、あまり州間のビジネスに干渉することはまかりならぬということになっているのです (Commerce clause-商習慣)。1992年の最高裁の判決ではセールス タックを徴税する為にはその州内で事務所や従業員、在庫の存在が必要だとしました。ところが、2016年にサウスダコタ州が、州内に事務所や従業員や在庫が無くても、10万ドル以上の販売又は200回以上の取引を州内で行うE コマースのようなビジネスを行う州外の会社はセールス タックスを徴収して支払うように義務ずけました。しかしWayfair社はそれに従わず、セールス タックスの徴収、支払いをしませんでした。そこで州がWayfair社を訴え、Wayfair社は逆に反訴しました。この裁判は、結局最高裁まで行き判決をされました。最高裁の判決は、州内に物理的に存在しなければならないというQuillの判決は正しくない、又その判決はマーケットを不当に歪曲し、一方的であり、形式的であるという理由で否定しました。最高裁は、州にEコマースのようなビジネスを行う州外の会社にセールス タックスを徴税して支払う義務があるとしたのです。アマゾンやカタログ販売をするような会社になります。当然、反対する会社も多く、これからどのような展開を見せるのか興味があります。

山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
9/14/2018

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