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仕事の機会を生み出す税額控除

仕事の機会を生み出す税額控除
アメリカの景気は悪くはないのですが、潜在失業者の数は多いと言われております。仕事を求める市民が後を絶ちません。このような長期の失業者の為に、内国歳入庁 (Internal Revenue Service – IRS)は、彼等を雇用する中小企業の為に税金面の恩典を与えることをやっております。仕事の機会を生み出す税額控除 (The Work Opportunity Tax Credit)と言われるもので、特定の失業者を雇用する中小企業に税金面の恩典を与えるものです。
“2015年のアメリカ人を高騰する税金から守る法律 (The Protecting Americans from Tax Hike 0f 2015 -The PATH Act)”という法律がありますが、この法律の実施前,特定のグループの従業員にこの税額控除を適用しておりました。そして該当する従業員とは、2014年 12 月31日から 2020年 1月 1日までに雇用される従業員になります。更に、IRSは、この税額控除の適用を拡大したり、修正したりしております。即ち、2016年1月1日現在、少なくとも過去27週間失業し、州ないし連邦の失業手当てをこの期間中に継続的にか部分的に受けていた人たちのグループを新設して、適格長期失業手当受領者 (Qualified Long Term Unemployment Recipient)となずけました。
税額控除の計算
この税額控除は、失業し始めた時から2年間の給与の金額をベースに計算し、フォーム5884を使ってこの税額控除を請求します。フォーム5884によると、最初の1年間の労働時間の内120時間以上ただし400時間以内の給与支払額の25%, それから最初の1年間の労働時間で400時間を超える時間に見合う支払い給与額の40%, それから2年目の給与支払額の50%を計算して、これらの額を合計した金額が税額控除となります。給与の額がベースになりますので、かなり大きな税額控除の数字になります。実際には、中小企業はIRSのフォーム8850を州の労働局 (State Workforce Agency)に提出します。このフォームは、この税額控除を得るために“事前スクリーニングと証明書の請求 (Pre-screening Notice and Certification Request for the Work Opportuni9ty Credit)”のフォームと言われております。提出期限がありますが、適用を受ける従業員が働き始めてから28日以内に提出するのです。
税額控除の限度
この税額控除には限度があり、その限度は当該年度の法人税額 (Business income tax liability)か社会保障税(Social security tax)の額までとなっております。会社はこの税額控除を法人税から差し引くことができるのです。そして通常の損失の繰延べや繰戻しの規則が適用されます。免税団体の場合には、従業員に支払った給与に掛かる社会保障税の額が限度額になります。免税団体の場合には、この税額控除をフォーム5884-Cを使って請求します。このフォームは、“退役軍人を雇用する適格免税団体”となずけられております。通常の会社の場合には、この税額控除をフォーム3800を使って一般的なビジネス上の税額控除 (general business credit)として請求します。
免税団体の場合には、2014年12月31日から2020年1月1日までに働き始めた適格退役軍人に対して税額控除を請求することができます。この税額控除を得るためのフォーム8850を提出して証明書を取得した後、フォーム5884-Cを提出して、この税額控除を請求します。免税団体の場合、控除の対象になるのは雇用者の社会保障税です。一般の会社の税額控除の対象が法人税であるのに対して免税団体の場合には税額控除の対象が社会保障税である点が違います。いずれにしても、アメリカは失業者を救うためにいろいろな手を打っているのです。
山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
5/25/2018

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