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米国会計・税務ニュース

1.AICPAの年金プラン報告変更に対する要請

 米国公認会計士協会 American Institute of Certified Public Accountants (AICPA) は、4つの政府機関が共同で提案しているForm 5500の変更を考え直すよう要請しています。
 Form 5500は企業が運営している年金プランに関する情報を政府機関に提出する年次報告書であり、内国歳入法(IRC)と従業員退職所得保障法(ERISA)に基づいて提出が要求されています。100人以上の加入者がいる年金プランでは、公認会計士(CPA)による監査が要求されており、Form 5500には監査報告書が添付されて提出されなければなりません。
 労働省(DOL)、財務省、内国歳入局(IRS)、年金給付保障公庫は雇用者による年金プランの年次報告の改善、法令順守を促進すために、連邦政府の共同プロジェクトとして、Proposed Revision of Annual Return/Reportsを発表してForm 5500の変更を提案しています。
 AICPAがDOLに送ったレターでは、多くの変更点には賛同するものの、報告に矛盾をきたす、また不明瞭な変更が含まれていることを指摘しています。提案されている変更では、年次報告に必要な情報を集めるために年金プランに多大な時間と労力を課すことになる、また補足資料や監査対象資料の作成にも追加の時間が要求されることになる、とも指摘しています。更に、変更による追加費用を年金プランの保証人である雇用者が加入者への付け替えを試みたり、費用削減のために保証人自らまたは専門知識がない業者に報告書の作成を頼んだり、年金プラン自体を廃止したり、確定している給付金の削減を試みたりする可能性があるとの懸念を示しています。
 AICPAは、変更が最終となる前に提案に関しての公聴会を開くことを要請しています。AICPAが関心を示している追加の議論として、監査人の開示、Peer review(専門家同士の相互評価)の開示、団体医療保険の開示、などを挙げています。

2.2015年度監査費用の動向

 Financial Executives Research Foundation(FERF)が、2015年における監査費用の新しい世論調査を発表しました。Securities and Exchange Commission(SEC)に報告が要求されている(SEC filer)6,490社のデータが反映されているこの調査では、平均で昨年比3.2%の増加であったとの発表でした。 
 監査費用の増加を分類別*に分けると次のような結果となっています。

・ 中小規模の公開会社、Nonaccelerated filers (時価総額75百万ドル未満)- 4.8%
・ 早期登録大規模会社、Large accelerated filers(時価総額700百万ドル以上)- 3.8%
・ 早期登録会社、Accelerated filers(時価総額75百万ドル から700百万ドル)- 3.0%
・ 小規模の公開会社、Smaller reporting companies(時価総額75百万ドル未満 または売上高50百万ドル未満)- 2.3%
 * 米国証券取引所法による定義

 買収に関わる監査と公開会社会計監督委員会(PCAOB)の検査対策が増加の半分以上の原因としている回答が得られています。三分の一の会社でSarbanes and Oxley Act(SOX)法の順守により内部統制が改善され費用に見合っていると答えています。別の三分の一の会社では内部統制は改善されたが、費用とは見合っていないとの回答をしています。費用増加があった三分の一の会社でインフレが増加要因としている回答も得られています。
 FEREの調査では、上記公開会社の調査の他、回答に基づき129の非公開会社では2.9%の増加、30の非営利団体では2.3%の増加があったとの発表をしています。20の非営利団体において増加が見られたのですが、その45%の会社でインフレが増加要因としています。

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