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関連会社間のローン取引

関連会社間のローン取引は資本と看做される

会社が子会社を設立しようとする時に、資本をいくら入れるべきか、ローンをいくらにすべきかについて、いつも問題になります。資本金として入れると、子会社が配当できる段階までは親会社としては見返りはありません。ローンとして入れる場合には、金利収入として見返りがあるので親会社にとって得なのです。ですから親会社は、出来るだけローンの額を多くして、資本金の額を小さく抑えようとします。この資本とローンの比率についてはアメリカの税法385条が規定しております。しかしこの税法はきわめてあいまいな条文で、詳しい規則はありませんでした。内国歳入庁 (Internal Revenue Service – IRS) の判断にゆだねられていたのです。この資本、負債の問題について、2016年4月4日に、IRSは新たな規則を提案しました。この提案では、IRSへ関連会社間のローンを資本とみなす権限を大幅に与えております。しかし、その決め方についての詳細は明らかにしておりません。たとえば、この規則では決められた書類の保存が出来ていない場合、ローンを資本と看做すとしております。それから特定の状況下での取引の場合、自動的にローンを資本金として看做すと言うのです。

資本と負債の違った取り扱い

親会社が50%以上の株式を保有する場合、親会社からの子会社に対するローンは資本金と看做すとします (Section 385 (a))。たとえば、ローン契約を調べて、一部は資本、一部はローンと判断されるような状況下では、ローンを資本とローンに分けて取り扱うと言うのです。細かい規定は定められておらず、この判断はIRSの担当官にゆだねられております。

最低要件の書類保存

この規則では、ローンがローンとして認められるためには、最低の書類の保存を要求しております。もしこの要件を満たしていない場合には、ローンは自動的に資本金として看做されます。従来の基準は、まったく考慮されません。この書類の保存の規則は、“拡大されたグループのローン“に適用されます。拡大されたグループとは、持ち株比率が80%を超えるグループのことを意味します。この書類保存は4つの部分から構成されております。一つは借り手の会社が決められた日に一定額を無条件で支払うことを約束する契約書があること、二つ目は貸す方の会社が債権者の権利を保有すること、 三つ目はローンが実行される時に、借り手の会社の財務状況が支払いが出来ることを期待出来ることです。たとえばキャッシュフローの予測、財務諸表、ビジネス予測、資産の評価、資本、負債比率などを考慮する必要があります。四つ目は、ローンの期間中に金利や元本支払いが銀行のステートメントと送金書類などで分かるようになっていることが必要なのです。もし金利や元本の支払いが遅れる場合には、債権者としての努力がなされたと言う事実も要求されます。この関係は、関連会社としての関係よりか銀行との関係に近いものになります。連結グループのメンバーは一つとして考えられ、連結グループのメンバー間のローンには、この規則は適用されません。

ローンが資本と看做される特定取引

関連会社からのローンの中で特定のローン取引については、自動的に資本扱いになります。特定取引には二つのグループがあります。一つは一般規則によるものであり、もう一つは特定取引の融資に関連する規則です。一般的な規則の場合には、ローンが次の特定取引に関連する場合です。分配に関連してローンが実行される場合、会社の株式との交換でローンが実行される場合、それから資産の再構築の中で資産との交換でローンが実行される場合です。融資の条件の規則とは、次の目的でローンが実行される場合です。メンバーが他のメンバーに資産を分配する場合、又はグループの株式を他のメンバーから取得する時にローンが実行される場合、そして資産の再構築時に、グループのメンバーが資産を取得する場合です。

IRSの権限

資本かローンかの判断の基準は設定するのが大変難しく、いろいろな状況の下、又は違った状況の下での規則の設定を内国歳入庁長官に依頼する必要があります。今回の提案規則は、この問題のほんの一部分をカバーしたに過ぎないのです。

 

山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP

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