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2019年度の税法179条の下での減価償却のポイントは次のようになります。初年度一括経費処理出来る金額$1,000,000、購入資産の金額の限度額、$2,500,000、ボーナス減価償却の額100%となります。具体的には、次のようになるのです。
購入資産額       $1,500,000
初年度一括減価償却  $1,000,000
ボーナス減価償却   $500,000
通常の減価償却    なし
初年度減価償却合計額 $1,500,000
コスト節約      $525,000
税引き後の資産額   $975,000 (35%の税率を想定)
税法179条は、アメリカ政府が中小企業に機械、器具やソフトウエアに投資することを促すために実施した優遇策なのです。機械器具やソフトウエアを購入した時に、税務署(Internal Revenue Service – IRS) は、購入した資産の全額を経費処理することを許可するのです。税法179条は、”SUVの税金の抜け穴 (SUV Tax Loophole”と呼ばれ、多くの会社が車を購入して、経費処理していたのです。この条項の利用は制限されてきました。しかし、この車に税法179条を利用するのは制限されましたが、そのほかのものについては、利用されてきたのです。大企業も利用できますが、中小企業により焦点を合わせた優遇策になっているのです。
税法179条には、限度があります。初年度に一括経費処理できるのは、購入資産の250万ドルまでです。250万ドルを超えると、1ドルにつき1ドルの割合で減額されていきます。ということは購入資産が350万ドルになると、この初年度に一括経費処理で来る金額が無くなるのです。この税法179条の初年度一括経費処理の恩典のほかにボーナス償却というのがあります。ボーナス償却というのは、税法179条の初年度一括経費処理の後に、更に残りの購入資産の全額を2019年度は経費処理できるというものです。税法179条の初年度一括経費処理とボーナス償却の違いは、前者が新規購入資産、中古資産のすべてを対象にするのに対して、ボーナス償却は新規に購入した資産だけを対象にしておりました。しかしながら、最近、ボーナス償却は中古の資産も対象にするようになりました。このボーナス償却は、年間250万ドル以上の資産を購入する大企業に有益です。例えば500万ドルの資産を新規購入した大企業は、350万ドルを超えた150万ドルの部分について全額償却出来るからです。ボーナス償却は赤字の会社の場合、利用できます。ボーナス償却をした後は、繰越損失が増えることになります。税法179条の初年度一括経費処理は、資産をビジネスに50%以上利用することが条件になります。
山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
9/26/2019

米国公認会計士 三村琢磨

米国シアトル市に本社を置く世界的なオンライン販売サイト運営会社であるAmazon.com(“アマゾン”)が、米国で受けた巨額の移転価格追徴課税を不服として内国歳入庁 (“IRS”)に対し提訴した課税取消し訴訟は、租税裁判所(2017年3月23日)に続き、控訴裁判所(2019年8月16日付)でもアマゾンが勝訴しました。
1.背景及びIRS課税の概要
本件は、アマゾン米国本社が欧州統括拠点であるルクセンブルクの子会社Amazon Europe Holding Technology (“AEHT”)から2005年と2006年の2年間に受け取った既存の無形資産譲渡の対価(“buy-in対価”)が過少であったとして、2012年11月にIRSが約22億US$(約2,300億円)の所得更正と、それに伴う234百万US$(約250億円)の追徴税額支払をアマゾンに命じたものです。
具体的には、アマゾングループの欧州事業において、欧州の文化や消費者の購買嗜好等に合わせて欧州独自で開発を進めるため、2005年に米国本社がAEHTとコストシェアリング契約(Cost Sharing Agreement、以下“CSA”)を締結しました。CSAに基づき、AEHTは今後の研究開発費やマーケティング費用を分担する代わりに、それらの投資から上がった収益を費用分担の割合に応じて得ることになりました。但しAEHTは、米国本社が2004年以前に開発したインターネット販売に関するノウハウ等の無形資産(“既存の無形資産”)からも便益を得るため、それについては米国本社に使用料(ロイヤルティ)を支払う必要がありますが、既存の無形資産を使用割合に応じて買取ればロイヤルティを支払う必要はなくなります。米国本社とAEHTは後者(既存の無形資産買取り)を選択し、buy-in対価を216百万US$(約230億円)と算定しました。
これに対しIRSは、アマゾン米国本社は自らが有する既存の無形資産の価値及びbuy-in対価を過小評価し、所得を米国からルクセンブルクに移転したとみなし、アマゾンの自社評価額より遥かに大きくbuy-in対価を算定し、巨額の所得更正が生じました。
2.租税裁判所でアマゾンが勝訴
米国租税裁判所は、アマゾンの提訴を受けてから4年以上を経て、アマゾン側の主張を認め、IRSの課税処分を取り消す判決を下しました。主な争点は、やはり既存の無形資産の価値の算定方法に係る部分でした。IRSは、アマゾンが算定したbuy-in対価算定には、革新をもたらす企業文化、既存の従業員の貢献価値など、第三者間では譲渡不可能な“残余事業無形資産”を含めるべきとしました。一方アマゾンは、そのような無形資産は2009年の税制改正以前のCSA規則では明記されておらず、(本件対象年度の2005・2006年度においては)第三者間で譲渡可能な無形資産のみが算定されるべきと主張しました。租税裁判所は、IRSが主張するそれら残余事業無形資産は無形資産と定義し難いと退け、アマゾンの主張を認めました。
またIRS側は、アマゾン本社が開発した既存の無形資産は永続的価値を有するとの前提に基づき、DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法によりbuy-in対価を高額に算定しました。それに対してアマゾンの主張は、ウェブサイト関連をはじめとする無形資産は技術進歩が急激であり、既存の無形資産(2004年以前)の償却年数はカテゴリーにより7年またはそれ以下と主張していました。判決では、償却年数をカテゴリー毎に8年~20年と、アマゾンの主張よりは長めに決定したものの、永続的であるとのIRSの主張は退けられました。
3.控訴審判決における微妙な変化
本件課税処分年度である2005~2006年当時の米国移転価格規則においては、無形資産は、「(1)特許・発明・ノウハウ等、(2)著作権等、(3)商標等、(4)フランチャイズ・ライセンス等、(5)プログラム・システム・顧客リスト等、(6)その他類似するもの、のいずれかに属し、且つ本体のサービスと切り離しても高い価値を持つ資産」と定義されています。IRSは、アマゾンの残余事業無形資産は上記“(6)その他の類似するもの”に属すると主張していましたが、控訴審では、そのような不明確な定義についての類推は認められないとのアマゾンの主張を支持し、IRSの主張を退けました。
但し租税裁判所判決では、IRSの手法を経済的実体にそぐわない恣意的な方法と批判しており、これらの手法のベースになっていると思われる2009年改正の現CSA規則自体が批判の対象となっているという印象を受けましたが、控訴審の判決は、あくまでも本課税処分は2009年改正規則の対象外であるからIRSの処分を違法としたようにも見えます。よって、IRSが2009年度以降についてアマゾンに対し本件と同じ手法により更に巨額の課税を行う事までは否認されていないようにもみえますので、今回の勝訴にも関わらず、アマゾン側にとっても不満の残る判決ではないかと個人的には推測します。

内国歳入庁 (Internal Revenue Service – IRS) は、時々、最近のニュースを発表いたします。最近のニュースの中で予定納税のペナルテイーに関するものがありました。アメリカでは税金は、不足のないように源泉徴収してもらうか、予定納税で十分な税金を支払う必要があります。もしその予定納税を支払わない場合には、ペナルテイーが掛かります。
予定納税に関する規則の中で、前年度の90%を支払う納税者の場合には、ペナルテイーは課さないというのがありました。IRSは、今年の初めにこのパーセンテージを80%に引き下げました。2018年の税金をベースに予定納税を払うのですが、90%から 80%に引き下げたのです。それから予定納税は、過去において4分割して支払うことになっておりましたが、これを2019年 1月 15日までに、全て支払えば別に4分割で支払う必要はないということにもしました。ですから1月 15日に1年分の予定納税を支払えばいいということになります。この90%の金額は、2019 年1 月16日に、まず85%に引き下げられました。それから3 月22日に、80%に再度、引き下げられたのです。この金額を予定納税として支払っておれば、自動免責となります。このパーセンテージの引き下げの発表が遅かったので、税金申告書を早く提出した人達は、このパーセンテージの引き下げを知りませんでした。従って、予定納税か源泉徴収という形で2018年の税額の80%を支払い、税金申告書を早く提出した人達にこの自動免責は適用されるのです。2018年度の税金申告書を提出した人達の中で40万人程が該当しますが、IRSは、この人達は、この自動免責を特に請求する必要はなく、自動的に自動免責にするとしております。特にIRSへ連絡する必要もありません。IRSは、これに関連して、還付金の連絡のメールを発送致します。すでにペナルテイーを支払った人達には、この自動免責の連絡のフォームであるCP21が送られてきた後、3週間以内に還付金のチェックが送られてくることになっております。すでに申告書を提出した人達に対して、IRSはペナルテイーを免除してもらう申請をする必要はなく、IRSに連絡する要もないことを強調しております。まだ申告が終わっていない人達には、この免責を申告書の上で要求するように要請しております。申告書の提出の10月15日まで延長願いを出している人達にも該当します。もっとも手っ取り早いのは、この予定納税のペナルテイーの免責が組み込まれた税金のソフトウエアを使って電子ファイルをすることです。電子ファイルではなく、紙の申告書を作成する人達は、フォーム2210を作成して、申告書に添付する必要があります。税金は、前払いが基本になっておりますので、税金を十分に源泉徴収してもらうか、予定納税の形で税金を支払う必要があるのです。昨年まで個別控除をしていて、2019年は標準控除をするような人たちの場合、また、夫婦共働きをする人達や自営業の人達の場合に気を付ける必要があります。思いがけない予定納税のペナルテイーを避ける為にも気を付けるべきです。
山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
8/19/2019

米国公認会計士 三村琢磨

欧州主要国はGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)等の巨大IT企業が節税により自国で殆ど法人税を払っていない事態を是正する為、EUが検討を進めているものの加盟各国の足並みがそろわないデジタルサービス税(Digital Services Tax、以下“DST”)を個別に導入することを検討しています。その中でも特に動きが早く、DST導入を積極的に準備していたフランスに対し、GAFAのお膝元である米国が介入してきました。7月10日に米通商代表部は、フランスが今にも可決しようとしているDST法案が米国企業を不当に差別する可能性について米通商法301条に基づいて調査を始めると発表しました。301条は昨年以降中国に制裁関税を課した根拠にもなった法律であり、DSTが不公正であると決定されれば、米国はフランスに対しても追加関税等の制裁を課すことができます。このような米国の介入にもかかわらず翌日7月11日、フランス上院は予定通りDST法案を可決し、実質的に世界初のDST導入が決まりました。そして同月25日に正式公布されましたが、その直後にトランプ大統領が「マクロン大統領の愚行に対する甚大な報復措置を速やかに発表する」とフランス産のワインに制裁関税を課すことを示唆しました。
フランスDSTの概要
今回可決されたDST法は、恒久的な課税ではなく、EU(域内共通)またはOECD(世界共通)のDST基準が決まるまでの間の、おそらく数年間程度の暫定的課税措置との位置付けであり、年間5億ユーロ(約600億円)程度の税収を見込んでいます。DSTの概要は以下の通りです:
(課税対象となるデジタルサービス)
 オンライン仲介サービス:他のユーザーとの対話を可能にするサービス、及びユーザー間で商品またはサービスが提供されるサービス。
 オンライン広告サービス:特にターゲット広告に関する各種業務(広告の管理及び成果測定サービスを含む)、及び広告目的でのユーザー情報の譲渡。
(課税対象外のデジタルサービス)
 デジタルコンテンツの提供のみを行うサービス、通信サービス、支払サービス等の仲介サービス。
 銀行及び金融サービス
 関連会社間で行われるサービス
(課税対象となる売上高)
フランスで行われた上記課税対象デジタルサービスの売上高。フランスで行われたサービスとは、フランスに所在するユーザー(IPアドレス等により判別)に対して行われるサービス、またはフランスで開設されたアカウントに対して行われるサービスを指す。売上高の金額は、全世界の課税対象デジタルサービス売上高に、フランスで行われたサービスの割合を乗じて算出されるものと思われる。
(DST課税対象の企業規模)
 全世界売上が7.5億ユーロ(約900億円)以上、且つフランスでの対象売上が25百万ユーロ(約30億円)以上ある企業のみが課税対象
 現在、課税対象は30社と見込まれており、その多くが米国企業であるが、中国、ドイツ、英国企業も含まれており、フランス企業も1社含まれている。(日本企業は含まれていない模様)
(税率、支払方法等)
 課税対象売上高(毎年12月末締め)の3%。但し前年課税額と同額の前払い(通常4月と9月)が必要
 EUに拠点を有しない企業は、DST支払の為EU内で代理人を任命する必要がある。
 税務調査の時効は6年間(通常は3年間)
 税務調査時には、2ヵ月以内に税額計算に必要な全ての情報(フランス内外のユーザー数、課税対象売上高等)を当局に提出する必要有り。
懸念事項
1. DSTは売上から費用を差引いた利益に課税する通常の法人税と違い、グロスの売上高に課税する事から、本当にフランスで儲かっていない企業にとっては非常に重い負担となる。
2. 一定以上の規模の企業のみを課税対象にしたことで、対象の殆どがフランス国外企業(特に米国企業)となっており、差別的課税と見做されるおそれがある。
3. 課税ベース及び税額の算定はユーザー数やアカウント数等の情報に基づくと思われるが現状明確とはいえず、税法上合法ではないとの見方もある。
4. DSTは法人税上損金算入不可であり、いかなる税額控除の適用対象にもならず、二重課税防止の為の各国との租税条約の適用対象外である事から、課税対象企業に重い税負担を課すことになる。
アメリカの介入は正当か
 米国の介入の理由は上記の懸念事項に合致し、論理的には正当にみえます。但し筆者個人の意見としては、無条件に賛成できるものでもありません。理由は、アイルランドやルクセンブルクなどの低税率国からサービスを提供することによりサービス提供地での課税を大きく逃れてきたのは殆どが米国企業であり、それを可能にしたのは、そのような低税率国での利益計上に対し合算課税ができない米国の税制にも原因があるといえるからです。GAFA等の米国IT企業がここまで世界的に巨大になったのは、世界の優秀な頭脳がシリコンバレーを中心とする米国西海岸に集まってくるという理由だけではなく、米国以外では殆ど税金を払っていない事によるキャッシュメリットも大きいのではないかと思われます。フランスのみならず他の欧州各国、及びEUやOECDのレベルでもDSTを検討しているのは、そのような米国企業が受けている逆差別的な節税の恩恵を是正しようとする動きなのです。
とはいえ、米国がふりかざす通商法301条は、現在中国が被っている苦境を考えると、フランスにとっても脅威である事は間違いありません。ルメール仏経済・財務相は本件DSTについて、信頼を置くムニューシン米財務長官等を通じ「制裁の応酬でなく対話により解決しよう」と呼び掛けていますが、果たして301条発動やトランプ大統領の言う甚大な報復措置を回避できるのか、今後の展開が注目されます。

米国公認会計士 三村琢磨

1.背景及び租税裁判所の判決
IT、製薬等多くの高収益な米国企業が米国外の子会社と締結している費用分担契約(Cost Sharing Agreement、以下“CSA”)において、ストックオプション報酬(Stock Based Compensation、以下“SBC”)にかかる費用(=従業員の権利行使時に発生する市場株価と権利行使価格の差)をそれら国外子会社に分担させる必要があるか否かは重要な問題です。SBC費用を税率の高い米国本社のみで損金算入できず、アイルランド、バミューダ等の低・無税率国の拠点にも分担させなければならないとなると、連結ベースの税務コストが上昇し企業価値の減少を招きます。
この問題は20年以上前より企業とIRSの間で何度も争われ、IRSは2003年にSBC費用を国外関連者に分担させる事を明確化したCSA規則改正を行いました。
しかし、半導体開発企業Altera Corp.(2015年にIntel Corp.が買収)は、ケイマン諸島の子会社との間でCSAを行っていたにもかかわらず、同子会社にSBC費用を分担させていませんでした。当然ながらIRSは税務調査でこれを指摘し、2004~2007年度にUS$約80百万の所得更正をAlteraに対し行いました。Alteraは、2003年の改正CSA規則自体が、第三者間での取引実態を無視したものであり独立企業間原則に反する為無効であるとの訴訟を2012年に提起しました。
2015年7月27日付で、米国租税裁判所はAlteraの主張を全面的に認め、2003年改正CSA規則を無効とする判断を、本件に関与した判事15人の全員一致で言い渡しました。主な理由として、IRSは「第三者間ではこのように行われるであろう」という理論のみに基づいた規則改正を行っており、そのような改正は、第三者間における実態を十分に反映して法制定しなければならないとする米国行政手続法に反するとしています。その他、SBC費用はCSAの費用分担対象とすべき高付加価値な無形資産を形成する費用として関連付ける事は難しいとも指摘しました。
2.最初の控訴審判決と撤回
IRSの控訴を受けた連邦控訴裁判所は2018年7月24日、3人の裁判官の多数決(1人は反対)により租税裁判所の判断を覆し、2003年改正CSA規則は有効であるとの判決を下しました。つまりSBC費用を国外関連者に分担させるべきとする2003年の規則改正は合理的な改正であり、IRSは米国行政手続法に反しているといえないとしたのです。ところが、その後判決を出した3人の裁判官の内1人が判決の大分前の同年3月に既に亡くなっていた事が明らかになり、それにもかかわらず多数決(死亡した裁判官を含め2対1)の判決を出した事に原告のAltera側を含め批判が起こりました。それを受けて同年8月には後任の裁判官が着任すると共に、控訴裁判所は、本件は再協議を要するとの理由により、7月24日付判決を撤回しました。
3.撤回後の控訴審再判決
連邦控訴裁判所の再審理は10月16日から始まりましたが、その頃から、後任の裁判官であるSusan Graber氏の意見は死亡した裁判官と同じIRS寄りであることが次第に明らかになり、企業関係者を失望させていました。今年(2019年)6月7日付再判決では、やはり2対1で租税裁判所判決を覆しAlteraの敗訴となり、結局撤回された昨年7月24日付判決と変わらぬ結果となりました。つまり、2003年の改正CSA規則は米国行政手続法に反していない、よってSBC費用はCSAにおいてケイマン子会社との間で分担すべきとしました。
敗訴が相次いでいたIRSにとって久々の移転価格裁判勝訴の報道ですが、これによりCSAを行っている多くの米国企業に大きな税務コスト増加をもたらす可能性があります。既にAppleは昨年8月に、撤回前の連邦控訴審判決を受けてSBC費用を国外子会社と分担する事を既に発表していますが、他のIT・ハイテク等の企業もそれに続く事が予想されます。
しかし、今回の再判決において租税裁判所の判決を支持した1名の裁判官が本判決に非常に強い異議を唱えたこと、またストックオプション報酬を多用する米国IT企業においてSBC費用が分担できるか否かは税務コストを大きく左右する問題でもあり、Altera(現Intel)はおそらく控訴裁判所に再審理を要求すると予想されています。この問題に関するIRSと企業の争いの決着は、おそらく最高裁までもつれこむのではないでしょうか。

ネクサス (Nexus) とは州が課税をする時のベースになるようなものです。その州の中で外国またはアメリカの中の州外の会社が課税されるために十分なビジネス活動を州の中で行なっているかの問題です。例えば、州の中で事務所を持っていたり、借りていたり,従業員を雇用していたり、在庫を所有していた場合に ネクサス があるとします。租税条約は国と国との条約なので州は必ずしも関係しません。 日本の会社は、租税条約の中の恒久的施設 (Permanent establishment) の条項に抵触しないかということを調べます。外国の会社は通常連邦税のためにはアメリカの中でビジネスを行い、実質的にアメリカのビジネスに関連した所得について課税されることになっております。そして租税条約の中の恒久的施設は事務所や工場などを意味しますので、この恒久的施設を通じて行うビジネスは連邦税の考え方と同じになります。この恒久的施設の定義の中の例外として、単なる商品の展示場や商品を倉庫に単に保管することなどは該当しないとしているのです。商品を陳列して顧客に見せたり、あるいは商品を倉庫に保管するだけでは、所得は生まれないからです。ということでアメリカの中にある州で事務所を持ち、在庫を抱えて販売活動を行ったり、サービス活動をした場合には、連邦のみならず州もその所得に対して課税することになります。しかしながら現在のインターネットを通じてのビジネスを行う環境の中では、この恒久的施設を通じてのビジネス活動という考え方が必ずしも役に立たなくなりました。一方、州は租税条約に縛られることなく、独自の考え方をいたします。各州の考え方を一つ一つ調べる必要があるのです。 州は税収を上げるために、 このネクサスの概念を州に有利になるように、できるだけ拡大するようにしているのです。
租税条約にある恒久的施設というような場所の考え方からさらに一歩進んで、経済的に州の中で課税の対象になる活動をしているかを調べるのです。例えば租税条約の恒久的施設の中では、商品の展示場あるいは商品を保管する倉庫などは除外されます。しかしながら、州はそのような活動を課税の対象と考え、港湾にコンテナ船を停泊させて、その中に商品を保持したり、倉庫に在庫を保有したり、トレードマークをその州内で顧客に使用させて収益をあげる場合にも、州は課税の対象となると考えるのです。
さらに州によっては物理的な場所の概念ばかりでなく 、経済的な観点から州内でビジネス活動を行っているのではないかと考えます。例えばトレードマークを保有する州内の会社が、その州の中で無形資産を使用するだけであるにも関わらず、課税の対象になると考えるのです。
又、各州を監督するところでは四つの条件又は要素が該当すれば課税するという考え方をしております。その基準の一つはその州の中で5万ドル以上の資産を保有すること、また5万ドル以上の給与を支払うこと、またその州内で50万ドル以上の売上を上げること、または会社の州内の資産、給与、販売額が各々の全体の25パーセントを超える場合には、その州はその会社を課税することが出来るとするのです。州によってはこの規則を利用し、同じ金額の基準を設定します。また別の州ではこの規則を利用しますが、金額は違ったものを設定します。又、代理人 (Agent) を州内で使用するか否かによっても課税するかどうかが決まります。この依頼人と代理人の関係は正式な契約書がなくても、州は諸般の事情を考慮して代理人が州内にいて、依頼人の為に営業活動をしているとして、課税するのです。 独立した代理人 (Independent contractor) の場合も、課税の対象になる活動が州内で行われていたと解釈するので気を付けなければなりません。
山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
6/20/2019

米国公認会計士 三村琢磨

米国会計検査院(Government Accountability Office、以下“GAO”)は、2019年3月付レポート「Tax Administration: Opportunities Exist to Improve IRS’s Management of International Tax Dispute Resolution」(税務行政:IRSの国際課税紛争解決の管理方法に改善の余地有り)を4月12日に発表しました。
例えばある多国籍企業A社グループの日本本社から米国子会社への製品販売取引に関してIRSが「日本本社からの輸入価格100が高すぎる」として同価格を80に引下げる更正課税を行った場合、この多国籍企業は二重課税の解消を求めて日米間の相互協議(Mutual Agreement Procedure、以下“MAP”)を申請することができます。米国内の係争手段、つまり裁判では、IRSの課税処分が裁判所において全面取消しにならなければ二重課税は解消されませんが、MAPでは両国の話し合い如何でフレキシブルな解決が可能です。例えば米国と日本の両当局が価格90で合意すれば、両国が50%ずつ譲歩(=税還付)し、A社グループの二重課税は解消されます。但しMAPでは両国が二重課税問題を「解決するよう努める」義務を負いますが解決する義務までは負っていないため、協議しても解決しないリスクがあります。
MAPの期間は申請から合意まで平均2年がメドと言われていますが、米国の場合財政赤字を背景としてIRSのMAP担当部局であるAPMA(Advance Pricing and Mutual Agreement Program)の人員削減により処理期間が長期化していると言われています。そのような中、GAOがIRSのMAPプロセスをレビューの結果、プロセス自体に改善の余地があると指摘しています。以下GAOレポートの概要を紹介します。
1.MAPプロセス問題点の指摘
(1)納税者への情報開示努力が不足
IRSはMAPのプロセスに関する規則をウェブサイトで開示しているが、規則は難解な表現が多く一般の納税者には分りにくい。また、MAPプロセスの概要や、FAQ(Frequently asked questions、想定問答集)やスキーム図などの表示がない。例えばカナダやシンガポールでなどの他国では、MAPレポートやウェブサイトにおいてMAPのプロセスが分かり易く示されている。IRSも納税者に対しMAPの概要及びプロセスについてクリアに示すことがのぞまれる。
(2)案件管理の為のデータ収集が不足
APMAにおいては、案件の進捗状況管理に有効な、各スタッフが個別の各案件に費やした時間数や日数が記録されていない(システムが対応していない)。また、各案件について事前相談(pre-filing meeting、申請前に納税者が当局と相談する場)が行われたか否かを含む納税者との接触の記録、各案件における合意の実施方法、合意金額等についても記録されていない。
(3)案件データの品質管理が不十分
例えば、全案件の約30%でMAPの申請書と合意書に記載される更正金額が異なっていた。
(4)案件データの活用が不十分
 要改善点を把握するためのデータ分析(当初課税を行った国、処理期間、エコノミストが当該案件に関与したか否か等)を経常的に行っていない。
2.問題解決のためのIRSへの8つの提言
(1)納税者がアクセスしやすく、且つ簡明なMAPプロセスの概要を提供すべきである。
(2)APMAは納税者との接触について記録・追跡すべきである。
(3)APMA各スタッフが個々のMAP案件に要した時間数を記録・追跡すべきである。
(4)APMAは各MAP案件における主要な出来事の日付を認識・記録すべきである。
(5)APMAは仕掛り中案件のデータの質をレビューするプロセスを導入すべきである。
(6)APMAは各案件の合意金額を記録すべきである。
(7)APMAは案件の性質に関する分析を通常の管理業務の一つとすべきである。
(8)APMAは各案件がどのカテゴリーの税務問題に該当するかを認識・記録すべきである。
所見
 IRSは本レポートに対し「プログラムのデータ管理及び納税者とのコミュニケーションの明確化が最優先であるとの点でGAOに同意する」と返信しており、GAOの指摘が正鵠を得ていることを示唆しています。従来、税務行政は“untouchable”と思われていますが、こうした形で政府機関の客観的な監査を受けることは、民主主義の体現であり、とても良い事だと思います。日本の会計検査院も、是非同様の監査を税務当局に対して行い、結果を開示して頂きたいものです。

2017年に発表されたトランプ大統領の改正税法には、アメリカおよびその統治領の中の貧困地域に対する投資の促進を図るための税優遇策が含まれておりました。その中の一つに“機会を生み出す地域の税優遇策 (The Opportunity Zone Tax Incentive) ”があります (IRC Section 1400Z-1 and 1400Z-2)。この新しい規則では、納税者が資産の売却から生ずるキャピタルゲインを、永久に繰り延べることができるのです。この税優遇策を受けるためには、納税者は、キャピタル ゲインを適格機会基金 (Qualified Opportunity Fund) に投資することを義務ずけられております。この基金は会社の形態かパートナーシップの形態を採用し、低所得者の居住する貧困地域のビジネスに投資ます。 2018年10月19日に財務省 (Treasury Department) と内国歳入庁 (Internal Revenue Service) が、この”新しい機会を生み出す地域 の税優遇策”に関する規則を提案致しました。それに先立って、2018年6月にはアメリカの50州の中の8,761のコミュニティー、ワシントン DC および五つのアメリカの統治領がこの機会を生み出す地域として指定されました。この指定された機会を生み出す地域は10年間その地位を継続することができます。そして投資家はこの地域に投資をし 、2017年12月21日以降に選択の手続きをとることによってキャピタルゲインに対する税金を2026年12月31日まで繰り延べることができます。具体的にはキャピタルゲインが発生した後180日以内に現金をこの適格機会基金に投資することによってキャピタルゲインに対する税金を繰延べることができます。 この税優遇策は税法1031条の不動産、特定の有形固定資産の交換による税金の繰り延べとは違います。キャピタルゲインは全てのキャピタルゲインが対象になります。また、たとえ2017年の税務申告が提出されていたとしても180日の条件を満たし、また2017年の税務申告書にその選択を記入するように修正申告することによって税金の優遇策を享受することができます。5年間投資を保持する場合にはキャピタルゲインの10パーセントの繰り延べが永久にでき、もし7年間保持した場合には更に5%を繰り延べることができます。10年間この投資を維持する場合には、キャピタルゲインの税金は永久に繰り延べることができるのです。更に売却時点では、その資産の税務上のベースを時価まで増加させることができます。この規則は S コーポレーション、その株主、エステート (遺産)、トラスト (信託)、その受益者にも適用されます。この繰延をしようとするキャピタル ゲインはこの機会を生み出す地域の基金に投資されなければなりません。この基金はQualified Opportunity Fund (QOF)と 呼ばれ、 この基金の形態としてはパートナーシップか会社組織でなければなりません。設立される州はアメリカの50州いずれでも構わず、その他 DC 及び五つのアメリカの統治領であってもいいということになっております。QOFは、投資の対象としてこの機会を生み出す地域の資産に90%以上の投資をすることが条件になります。投資家はもし10年間この投資を保持する場合には、売却時点で投資した資産の時価まで資産のベースを増加させることができます。また提案規則ではビジネスが所有ないしリースする有形固定資産の少なくとも70%がこの機会を生み出す地域の資産である場合には 、有形固定資産の大部分が機会を生み出す地域の資産であるとします。財務省と内国歳入庁は機会を生み出す 税優遇策に投資家が参加するために追加の規則を発表しました。2017年以降購入された土地に関する規則であり、その土地の最初の使用者であることを規定する規則になっております。内国歳入庁によると、この基金を設立するためには自分で証明書を発行し、基金の税務申告書に添付することになります。キャピタルゲインのある納税者にとっては、大変うれしい優遇策なのです。
山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
4/17/2019

米国公認会計士 三村琢磨

米国内国歳入庁(Internal Revenue Service、以下“IRS”)は2019年3月22日付で、2018年度のAPAの状況をまとめたレポート(Announcement and Report concerning Advance Pricing Agreements、以下“APAレポート”)を発表しました。
APAは移転価格算定方法について納税者と税務当局(一国又は二国間以上)との間で予め合意又は確認し、一定期間は税務調査が行われないという、移転価格税務リスクを回避する為の最も確実な手段です。米国では1991年から行われていますが、IRSによるAPAの年次報告書は2000年以降毎年発表されており、今年で20回目の報告書となります。ちなみに、APAが世界で初めて制度化されたのは日本ですが、日本の国税庁もIRSにならって2003年以降毎年APAレポートを発表しています。2018年度APAレポートの概要は以下の通りです:
1.申請件数
2018年度のAPA申請件数は203件と、2017年度の101件から倍増しました。その内168件(83%)が二国間APA(7件の多国間APAを含む)で占められています。二国間APA申請件数の相手国で最も多いのは日本(34%)、次がインド(21%)となっており、米国で申請された二国間APAの5割超をこの両国向けが占めています。
申請件数が倍増したのは、米国におけるAPA申請に当たってIRSに支払うユーザー・フィーが2018年6月30日以降、同年12月31日以降と2段階でほぼ2倍近くに急騰したことから、値上げ前の駆け込み申請が多数発生したことが原因です。ちなみに、ユーザー・フィーを先に満額払えば、その後120日以内に(正当な理由があれば更に30日の延長も可)完全なAPA申請書を提出する事を条件に、フィー支払日を申請日とみなすことが認められることを利用したフィー支払申請が2018年12月末時点で71件も(上記の203件とは別に)あったそうです。いかに駆け込み需要が多かったかがわかります。
2.締結件数
(1)全般
2018年度のAPA締結件数は107件と、2017年度の116件に比べて9件減少しました。大幅に増えた申請の処理に追われたことで、財政赤字の影響で人数が減少しているAPA担当職員が駆け込み案件申請の対応に追われた事も一因と思われます。なお、全締結件数の内更新(renewal)案件数は62件、全体に占める更新案件の割合は58%と、全締結件数の約6割が比較的処理が容易な既存APAの更新であるという状況は2017年からほぼ変わっていません。
(2)二国間APA締結件数の国別内訳
2018年度二国間APA締結のうち83件(78%)は二国間APA(2件の多国間APAを含む)となっています。二国間APAの相手国としては、日本が39%と引続きトップであり、2位のカナダ(20%)と合わせて全二国間APA処理の約6割が日本又はカナダの案件であった事になります。米国APAにおける日本のプレゼンスが未だ非常に大きい事がわかります。以下、3位韓国(10%)、4位メキシコ(6%)、5位オランダ(4%)となっています。2016年度にAPAが解禁されたインドは、申請件数では2位となっているものの、未だ処理完了には時間がかかるようです。
(3)締結対象取引の内容
 例年の傾向通り、2018年度締結件数の内、米国親会社と米国外子会社との取引に係る案件は全体の22%しかなく、少数派です。その他は基本的に米国外の企業による取引と考えられ、特に締結された日米間APAの殆どは日本企業による取引と思われます。
3.平均処理期間
2018年度の締結案件における平均処理期間は42.8ヵ月と、2017年度の39.1ヵ月から4カ月弱増加、また全処理件数の中間値も33.8ヵ月から40.2ヵ月へと、半年以上大幅に延びました。APAレポートでは、この主な原因を「長期化していた案件を締結した事、及び相手国との相互協議日程調整が難航した事」としていますが、IRSのAPA部門トップであるディレクターのジョン・ヒューズ氏はインタビューにおいて、(米国財政赤字を背景とした)APA担当者数の削減が影響している事を認めています。IRSのユーザー・フィー上昇のみならず、処理期間の長期化によりビッグ4など専門家に支払う高額なフィーも更に増加する可能性があります。APA申請を検討している企業は、今一度事前に費用対効果を検証すべきでしょう。

パートナーシップやS法人 (米国税法のSubchapter Sに規定される法人であり、パートナーシップと同じ扱いになる)、信託などをパス スルー事業体 (Pass through entity) と言います。このパス スルー事業体は、決算期に帳簿を締めて損益を計算しますが、会社と違って事業体では税金を払わずにその事業体の出資者に損益を分配して、出資者が税金を払います。パス スルーの事業体の決算は普通に行われますので、その損益は大事です。このパス スルー事業体に対して、事業所得の20%を控除していいということがトランプの税法改正で発表されました。税法199A条に規定されております。今回はこの規定について説明します。
この税法199A条は、パススルー事業体の事業所得に対して一律20%の控除を認めますが、この控除は、二つのグループに分かれております。一つは米国内でのパス スルー事業体の適格事業 所得(Qualified business income) の20%を自動的に控除として認めるというものです。個人営業者、パートナーシップや S 法人、信託などの米国内での事業所得の20%を控除するというものです。 但し課税所得の額によってこの控除には制限があります。例えば夫婦合算申告者の場合には、課税所得が315,000ドルを超える場合 であり、夫婦個別申告者の場合には157,500ドルを超える場合に制限があります。その制限とは事業の種類や課税所得の額また事業体が支払う給与の額、そしてこれらの事業体が取得した資産の修正前のベースなどによる制限です。 C法人 (米国税法のSubchapter Cで規定された法人) や従業員として稼いだ所得には、この控除は適用されません。 二つ目の所得控除には、不動産信託 (Real estate trust – REIT) や市場で取引されるパートナーシップ (Qualified publicly traded partnership – PTP – income) の所得の合計額の20%があります。このグループの所得控除には,適格資産に関する制限はありません。この二つのグループの所得を合計したものが, 適格事業所得 (Combined qualified business income amount) と呼ばれます。 この適格事業所得は課税所得からネットキャピタルゲインを差し引いた額の20%を超えることはできません。この所得控除は、納税者が申告書の上で個別控除や標準控除を選択することに関係なく取ることが出来るのです。
この所得控除を享受するのはパス スルー事業体と言いましたが、実際の享受者は個人または信託であり、パススルー事業体はこの所得控除を出資者に分配することによって個人の出資者が所得控除を享受できるようにするのです。パス スルー事業体は、これらの所得控除を出資者の出資比率に応じて配分していくのです。
適格事業とは、いかなる事業でもいいのですが、次の二つの事業を含まないことになっております。最初の含まれない事業とは特定のサービス事業 (Specified service trade or business – SSTB)と言われるものであり、 次のような業種に関わるものを言います。すなわち、健康、法律、会計、年金数理、パフォーミング アーツ、コンサルテイング、スポーツ、金融サービス、投資、 投資管理、貿易、その他従業員の個人的な評判やスキルが所得のベースになってる仕事などです。夫婦合算申告書の場合、課税所得が315,000ドルを超える場合に上記の業種が除外さます。 その他の場合には157,500ドルを超える場合に除外されるのです。その金額を超えない場合には除外されません。 即ち、これらの金額を超えない場合には、これらの業種でも20%の所得控除が享受できるということです。第二の除外事項は, 従業員としてサービスを提供する場合です。この所得控除の計算は、納税者の課税所得からネットキャピタルゲインを差し引いた残額の20%の範囲以内で行われます。
そして納税者の課税所得が315,000ドル (夫婦合算申告者の場合、夫婦個別申告者の場合には$157,000) を 超える場合には、この所得控除は事業が特定事業かあるいは給与の額または会社が取得して使用する特定資産の修正前のベースなどによって制限されます。夫婦合算申告書の場合、課税所得が315,000ドルから415,000ドルの間の納税者の場合には、所得控除は制限されて漸減する形になります。 夫婦個別申告書の場合は、157,500ドルから207,500ドルの間です。そして課税所得が415000ドルや207,500ドルを超える場合には、 20%の所得控除はありません。

山口 猛、パートナー
Yamaguchi lion LLP
3/16/2019

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