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ニューヨーク州の有給休暇制度

 有給休暇とは正当な理由で会社を休んでも給料を支給される制度の事です。ニューヨーク州では、12週間の有給休暇を与える制度を最近発表致しました。これは2018年に8週間でスタートし、2019年に10週間、2020年も10週間、2021年に12週間と増やしていきます。支給される給与は、2018年が通常の50%、2019年が55%、2020年が60%、そして2021年には67%となります。この有給休暇の制度を利用できるのは、出産した最初の1年または幼児を養子として引き取った最初の年度、あるいは、幼児を引取る前の準備の段階や重傷の病気になった家族の世話をする場合、あるいは家族の一員が軍務に召集された為に家を離れる場合などです。この制度を利用できるのは、毎週20時間以上働く勤労者が、26週間以上働いた場合です。州に20時間以内しか働かない勤労者の場合には、働き始めてから175日目にこの制度を利用できるようになります。
 このような制度を実施している州がほかにもあります。例えば、カリフォルニア州、ニュージャージー州の場合、有給休暇の日数は6週間、ロード・アイランド州の場合は、有給休暇の日数は4週間です。シアトルのあるワシントン州も最近、この有給休暇の制度を採り入れましたが、実施は2020年になります。首都のワシントンD.C.の場合には、有給休暇の日数は8週間ですが、実施は2020年になります。また連邦政府の制度の中でも、出産や家族の病気の為に休暇を与える法律 (Family and Medical Leave Act (FMLA))が1993年に可決されました。しかし、この法律の場合には有給休暇ではなく、仕事が保障されると言う制度です。やはり困窮の家族とか家族の病気などで困っている人の場合です。この制度の場合には、グループ健康保険に入っていることが条件になっております。このFMLAは、50人以下のビジネスには適用されず、対象になる従業員は雇用されて12ヶ月を経ていること、前年度に20時間働いているという条件を満たさなければなりません。本人が大病に掛かっている場合にも、この制度の対象になります。ニューヨーク州の制度の場合には、家族の世話をするか、給料をもらうかを選択する必要がないのです。それだけ有利な制度と言えるでしょう。会社は、この制度の為に保険に入らなければなりません。この保険の名前はNYS PFLと言います。この保険は従来からある傷害保険 (Disability insurance)の一部として保険の書類に追加される保険です。自家保険でも構いません。この追加の傷害保険は2018年1月1日までに実施しなければなりません。従業員から保険料を源泉しますが、会社が全額負担しても構いません。この制度のスタートは2018年1月1日ですが、会社は源泉を2017年の7月1日から開始しても構いません。源泉比率は週給の0.126パーセントですが、給与は州の平均給与を超えることはできません。週に1,305.92ドル以上の給与を貰っている人の源泉税率は週に1.65ドルを限度とします。源泉税率や限度額は年々変更されることがあります。まだ実施に踏み切っていない各州は、ニューヨーク州のこの制度を慎重に見守っております。

山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
2017年8月

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