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IFRS15号 - 売上収益の認識基準

 売上収益の認識基準は大変重要なのですが、過去において統一されておりませんでした。国際会計基準では規則が簡単すぎて、複雑な事例には使えなかったこと、またアメリカの会計基準では、業種ごとに違った規則があり、あまりにも複雑な規則になって統一性に欠けてしまったのです。この様な背景をもとに国際会計基準は改正されてきました。その中で国際会計基準15号の売上収益の計上基準が2018年1月1日からアメリカでも実施されることになっております。この規則の影響を受けると思われる会社は、早急に準備に取り掛からなければなりません。この基準によると売上収益を計上するためには、次の5つのステップを踏むことになっております。

ステップ1 顧客との契約 (Contract with customers) を確認すること。契約とは一人ないし複数の相手との契約であり、お互いの権利、義務 (Rights and obligations) について規定されたものです。

ステップ2 契約の中の売上を達成したりサービスを提供する内容 (Performance obligation) を確認すること。このPerformance obligationとは、顧客に実際に商品を配達して売上を達成したり、顧客にサービスを提供することを言います。

ステップ3 取引価格 (Transaction price) の決定こと。これは商品を顧客に配達して売上を達成したり、顧客にサービスを提供した代償としてもらう代金のことです。

ステップ4 契約の中の取引価格を配分 (Allocate) すること。これは売上なり収益が段階的に認識されなければならないような契約の場合に、その契約価格をそれらの契約に謳われた条件、即ち、商品を配達して売上を達成したり、サービスを提供することに応じて認識することです。

ステップ5 売上を達成したり、サービス (Performance obligation) を提供した時点で収益を認識すること。

 実際にこのようなステップを、どのように行えば良いのでしょうか。
 会社が顧客と締結する契約は数多くあり、また、それぞれ異なっていることが考えられます。したがって会社はこれらの契約をひとつずつ検討して、それぞれについて如何にこの国際会計基準を適用するかを検討しなければなりません。
 次に会社は顧客を何社持っているのか、契約がいくつあるのか、を調べなければなりません。それが分かった後で会計のソフトウェアやシステムに取り込んで行かなければならないのです。このためにソフトウェアやシステムを変更することにかなりのコストがかかることを覚悟しなければなりません。
 それからこの国際会計基準15号を採用する時点で過去に遡ってこの規則を適用しなければならないことになっております。これは大変面倒なことではないかと思います。さらに、財務諸表の脚注の開示の為に、次のことを説明しなければなりません。

1.適切なグループに分けて収益を計上すること
2.契約のバランス、即ち期首や期末の売掛金、契約の資産、負債を計上すること
3.どの時点で売上を達成したりサービスを提供したと認識するのか、また取引価額を如何に配分するか
4.重大な判断をしたか、又その後の判断の変更について
5.契約を獲得又は達成するために掛かったコストをベースにした資産について

 国際会計基準の適用には時間がかかるので、なるべく早く準備に取り掛かることをお勧めします。

山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
8/20/2017

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