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トランプ大統領の減税プラン

トランプ大統領の減税プラン

 2017年4月25日にトランプ大統領が待望の減税プランを発表いたしました。今回のトランプ大統領の減税プランは、税金を軽減することの他に, 余りにも複雑になりすぎた税金申告書を簡素化することにあります。減税プランは法人及び個人の税金に及びます。この減税策でアメリカの経済は、ますます強くなるであろうと政府は言いますが、大幅減税は財政赤字を更に増加させるのではないかと心配する人たちも多いのです。またこの減税プランは1986年以来の大幅な税法の改正だと言われております。
 トランプ大統領の減税プランが成立するためには、議会の承認が必要です。そして議会の承認を取ることは、大変に難しいのではないかと言われております。

個人の減税プラン

 個人の減税プランでは、まず累進課税のブラケットを7段階から3段階に簡素化します。10%, 25%, 35%の3段階だけにするのです。以前は10%, 15%, 25%, 28%, 33%, 35%そして39.6%と7段階になっておりました。これだけでもかなりの簡素化になります。次に控除の中の標準控除を個人申告者の場合、6,300ドルから12,600ドルに引き上げ、夫婦合算申告者の場合、12,600ドルから24,000ドルに引き上げられます。即ち24,000ドルの収入がある家庭の人たちは税金を払わくていいことになります。一方、個別控除の方は、慈善団体に対する寄付、住宅ローンの金利はそのまま維持しますが、その他の個別控除は廃止ます。例えば、州や地方税の控除は廃止されるのです。又、医療費、ギャンブル損失、ビジネス経費で会社に払い戻しされない経費などが廃止されます。
 トランプ減税プランは、相続税を廃止することも提案しております。アメリカでは相続税は549万ドルの免除額がありますが、それを超える額について40%の税金がかかります。これは金持ちにとって大変に有利な提案です。また代替ミニマム税を廃止します。代替ミニマム税というのは、スーパーリッチの人達がいろいろな税法の恩典を利用して税金を払わなかったり、払う税金を少なくしていたのを防ぐ為に始められた税金です。しかしこの代替ミニマム税が、インフレの影響で当初対象になっていなかった中間層の人達, 20万ドルから50万ドルを稼ぐ中間層の納税者がこの代替ミニマム税を払うようになり、問題となっておりました。トランプ大統領は、2005年に3,100万ドルの代替ミニマム税を支払ったと言われております。それからオバマ大統領の時に始まった証券投資から得られる利益に対する3.8%の投資税金を廃止します。この税金はオバマケアの財源にするために始められた税金だったのです。

法人の減税プラン

 法人税の方では、税率を35%から15%に低減します。中小企業の経営者にとってこの法人税の低減はなによりの朗報です。それから今まで海外で税金を払わないで蓄積していた利益に1回限りで課税することを提案しております。税率は、これから決めます。これは、海外に税金を払わないで貯めてあった利益をアメリカに還元するために行われるものです。税率も低めに設定されるのではないかと思います。次に法人は、将来、世界中で稼いだ利益に対して税金を払うのではなく、アメリカの中で稼いだ利益に対してのみ課税するシステム (Territorial Tax System)に変えることを提案しております。アメリカを除くほとんどの先進国が、このTerritorial Tax Systemを採用しているからです。海外企業との競争上、今まで大変不利であったアメリカの企業にとっては、この新しいシステムは朗報ではないかと思います。トランプ大統領の減税プランがアメリカの経済成長を促進することは間違いないと思われますので、注目しましょう。

山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP
4/25/2017

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