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個人所得税の基礎知識

連邦個人所得税
(Yamaguchi Lion LLP Partner 山口 猛)

個人所得税は、給与、利子、配当、不動産や投資物件の売却から生ずる譲渡所得(キャピタルゲイン)などから特定控除経費を差し引き、更に扶養家族控除、標準控除ないし個別控除経費を控除して課税所得を算出し、それに累進税率をかけて算出します。その税額から税額控除を差し引くと、最終税額が出てきます。算式で書くと次の通りです。
ステップ1 所得-特定控除=調整総所得 (Adjusted Gross Income – AGI)
ステップ2 調整総所得-扶養家族控除-標準控除又は個別控除=課税所得
ステップ3 課税所得x累進税率=税金
ステップ4 税金-税額控除=最終税金
基本的に、所得から経費を差し引いて、税率を掛け税額を計算すると理解してください。

課税対象の最低所得額
税金は、全ての人に掛る訳ではありません。所得が一定の額に達していない人は税金を払う必要も税金申告書を提出する必要もないのです。万一、税金を源泉徴収されている場合は、税金が還付されますので、税金申告書を作成して、提出してください。2016年度の課税される所得額は、次の金額を超える額になります。
1. 独身者  $10,350
2. 独身者(65歳以上) 11,900
3. 夫婦個別申告者(標準控除か取れない場合) 4,050
4. 夫婦合算申告者 20,700
5. 夫婦合算申告者(いずれかが65歳以上) 21,950
6. 夫婦合算申告者(ともに65歳以上) 23,200
7. 扶養主 13,350
8. 扶養主(65歳以上) 14,900
9. 適格寡婦(夫) 16,650
10. 適格寡婦(夫)(65歳以上) 17,900

米国居住者 (Resident)、非居住者 (Non-resident)
個人所得税を払わなければならないのは、アメリカの市民は勿論ですが、外国人でもアメリカに住む居住者、それから非居住者でもアメリカで所得のある人です。居住者は、税務上、アメリカ市民と同じ扱いになります。居住者は米国のみならず、米国外の所得について全て課税されます。通常、全世界所得に課税されます。非居住者については、米国内源泉の所得についてのみ課税されます。米国外の所得については、米国の税務署は課税する権利を持たないのです。また、非居住者については、利子、配当、家賃、ロイヤリテイーのような投資関連の所得と給料のような労働役務サービスに関連する所得とで、税金のかけ方が違います。前者については、たとえば10%の源泉課税というように、利息の総額に10%を掛けた額を源泉課税されます。後者については、居住者と同じ累進課税という方法で課税されます。これを整理すると次のようになります。
1. 居住者に対する課税
全世界所得に累進課税
2. 非居住者に対する課税
2.1. 利子、配当、家賃、ロイヤリテイーなどの投資所得は源泉課税
2.2. 給与などの労働役務サービスについては累進課税
3. 居住者、非居住者の決め方
居住者、居住者については、通年居住者とそうでない人に分かれます。居住を決めるのに当該年度を含めた3年間の特殊な期間計算をしますので、注意が必要です。居住者とは、次のような者を言います。
3.1. 永住者、
3.2. 居住者扱いを選択する者
3.3. 居住条件テストに合致する者―課税年度に少なくとも31日以上居住し、且つ3年間に通算183日以上居住する者です。
3.4. この183日の計算は、次の3種類の日数を計算して合計した日数です。
3.4.1. 今年度の滞在日数
3.4.2. 前年度の滞在日数の3分の1
3.4.3. 2年前は滞在日数の6分の1
日本とアメリカを往復される人は、この滞在日数に気を付ける必要があります。

扶養家族控除 (Personal Exemption、人的控除とも言う)
扶養家族控除、又は人的控除としては、一人当たり$4,050の控除があります。
1. これは、本人を含め、その他、扶養家族が対象になります。扶養家族控除をとる時に、名前と社会保障番号(Social security number)の情報が必要です。
2. 働けないビザの為に、外国人で社会保障番号を取れない人は、特別の税金申告用の為の番号Individual Taxpayer Identification Number(フォームW-7)を税務署から取って記入します。
3. 扶養家族控除又は人的控除がとれるか否かは、次のテストの結果によります。
3.1. 家族関係
3.2. 市民か否かのテスト
3.3. 夫婦合算申告者か否かのテスト
3.4. 総所得テスト
3.5. 扶養テスト
4. 家族関係とは、次の者に限られます。
4.1. 子供、
4.2. 親、
4.3. 兄弟、
4.4. 祖父母、
4.5. 叔父、
4.6. 甥、
4.7. 姪、
4.8. 義理の父母、
4.9. 義理の子供、
4.10. 義理の兄弟
5. 市民テストでは、次の者に限られます。
5.1. 扶養家族が市民か永住者
5.2. 扶養家族が居住者
6. 夫婦合算申告者テストとは、次のようなことを意味します。
6.1. 自分の申告書ではなく、扶養控除を取ろうとする者の申告書の問題です。
6.2. 例えば、結婚している子供が、もし夫婦合算申告書を提出している場合、親は、その子供を扶養家族として控除することはできません。
7. 総所得テストとは、次のようなことを意味します。
7.1. 子供が18才以下か、学生の場合は、23才以下、
7.2. 収入が$4,050以下
8. 扶養テストでは、扶養の少なくとも50%を賄う必要があります。
8.1. 高額所得者の場合、扶養控除を全額とることはできません。
8.2. 高額所得者の扶養控除額は、所得額 (AGI) により減額されます。減額の度合いは、次の通り計算します。
8.2.1. 扶養家族数x$4,050
8.2.2. 調整総所得額から次の額を差し引く
申告者状況 減額開始   完全廃止
夫婦個別申告者 $155,650 $216,900
独身 $259,400 $381,900
扶養者 $285,350 $407,850
夫婦合算申告 $311,300 $433,800
8.3. インフレ調整として、上記8.2. 2で得た額を$2,500(夫婦個別申告者の場合、$1,250)で割り、その額に2%を掛けて減額する。それ以上は減額になりません。
8.4. 上記8.2.1の扶養控除から8.3の控除額を差し引きます。

申告書提出期限
1. 居住者の申告書提出期限は4月15日 (2017年は、4月18日) です。
フォーム4868を提出することにより、6ケ月の自動延長が認められております。(税金支払いがある時は、税金を支払う必要があり、申告書提出の延長は認めるが、税金は払えということになります。)
2. 非居住者と居住者で4月15日に米国外に滞在する者の申告書提出期限は6月15日です。
フォーム4868を提出することにより、4ケ月の自動延長が認められております。但し、非居住者で米国内で給与を貰い、W-2フォームを貰う者の申告書提出期限は、4月15日です。給与を貰えば、アメリカ人と同じということです。

提出フォーム
提出フォームには、次のものがあります。
1. 居住者用フォーム1040(テン フォーテイーと呼びます。)
2. 非居住者のフォームは、1040NRです。NRはNon-residentの略です。
3. 所得の少ない人達の為の簡略フォーム1040EZとその条件
所得の少ない人の為に、簡略フォームがあります。フォーム1040EZと言います。そのための条件は次の通りです。
3.1. 所得が$100,000以下
3.2. 尚且つ、独身者又は夫婦合算申告者であり、扶養控除をとらいない人で、年齢が65才以下、
3.3. 所得が給与、チップ、奨学金、失業保険であり、又金利収入が$1,500以下
3.4. 税額控除は勤労所得税額控除(Earned income tax credit)しか取らない(前受けがある場合はだめ)
3.5. 家庭内雇用税債務(Household employment taxes on wages paid to household employees)がない
4. 所得の少ない人達で、上記の1040EZに該当しない人の為のフォーム1040Aとその条件 –

4.1. $100,000以下の所得の人
4.2. 教育費、IRA個人貯蓄年金控除、学生ローンの金利、学費、フィー控除を調整総所得前経費として控除する
4.3. 所得が給与、チップ、金利、配当、キャピタルゲイン分配、奨学金、年金、失業保険、社会保障年金などに限られる
4.4. 標準所得控除をとる
4.5. 税額控除は、子女税額控除、追加子女税額控除、教育税額控除、勤労所得税額控除、子女、扶養経費に関する税額控除、老年又は障害者控除、養子税額控除、退職年金拠出税額控除に限られる
4.6. インセンテイブ ストック オプション行使から得られる株式に関し代替ミニマム税がない

所得 (Income)
1. 申告すべき所得には、次のものがあります。

1.1. 給与
1.2. 退職金
1.3. チップ
1.4. 訴訟に絡む受領金
1.5. 利子
1.6. 配当
1.7. 譲渡益(キャピタルゲイン)
1.8. ギャンブルで得た金
1.9. 賞品
1.10. 賞金
1.11. 州、地方税の還付金およびクレジット(個別控除)
1.12. 家賃収入
1.13. 奨学金
1.14. 社会保障
1.15. 失業保険
1.16. 離婚手当
1.17. 事業所得
1.18. 会社が子女世話施設等を持って便宜をはかっている場合、その額も所得になります。
2. 所得にならないものとしては、次のものがあります。
2.1. 傷害保険、健康保険で得た額
2.2. 現金リベート(車のリベート)
2.3. 盗難等の被害の補填額
2.4. ギフト
2.5. 生命保険
2.6. 災害保険で得た額
2.7. 保険会社が払う生活費、長期療養保険の支払い(1日$210、年間
$76,650、労災保険)

経費 (Deductions)
一般に経費と考えられるものには、次の二つがあります。
1. 調整総所得(Adjusted gross income)を計算する段階で控除する特定経費
2. 調整総所得を計算した後で控除する標準控除(Standard deduction)又は個別控除経費(Itemized deduction)

調整総所得(AGI)を計算する段階で控除する特定経費
第一のグループの経費は、特定な経費に限られますので、特定経費と呼ぶことにします。
特定経費とは、次のものを言います。
1. 教育者経費(Educator expenses)として一人$250まで教育に関係する経費控除(夫婦が教育者の場合、$500まで)、幼稚園から12年生までの教師、900時間の勤務条件あり
2. 個人貯蓄年金への拠出金(IRA deduction)($5,500が限度、年末までに50才になる人は$6,500まで控除。会社の年金制度に参加している場合、調整調整所得の額で調整する。夫婦合算申告者―$98,000-$118,000, 独身者、扶養主―$61,000-$71,000, 夫婦個別申告者―$10,000以下)
3. 学生ローンの金利(Student loan interest deduction)(条件として金利を払ったこと、税務上のステイタスが夫婦個別申告者でないこと、調整所得額が独身者で$80,000、夫婦合算の場合、$160,000以下であること、両親の申告書上で扶養家族でない事)を条件に$2,500まで金利を控除できます。
4. 授業料、フィーの$4,000までの控除(Tuition and fees deduction)(条件として授業料、フィーを払ったこと、夫婦個別申告者でないこと、調整調整所得額(AGI)が独身者、扶養主、適格寡婦(夫)の場合、$80,000以下、夫婦合算申告者の場合、$160,000以下であること、両親の申告書上で扶養家族でないこと、教育者経費を控除していないこと、調整総所得(AGI)が、$6万5,000から$80,000の場合、又$130,000から$160,000の場合、$2,000までの控除が出来る)
5. 健康貯蓄アカウント控除(Health saving account deduction)
6. 転勤費用(Moving expenses)(前勤務地から50マイル離れている事)
7. 自営業者税(One half of self-employment tax)の半分、
8. 自営業者の健康保険費用(Self-employed health insurance)
9. 自営業者の適格年金(Self-employed SEP, SIMPLE and Qualified plans)、
10. 貯金の早期引き出しにかかるペナルテイー(Penalty on early withdrawal of savings)
11. 離婚手当て(Alimony paid)

調整総所得を計算した後で控除する経費
第二段階で控除出来る経費には、簡便法の標準控除(Standard deduction)又は個別控除(Itemized deduction)があります。
1. 個別控除は、該当する経費の領収書を集めて合計し、費目毎に控除します。この個別控除は、領収書集めに時間がかかります。
2. この代わりに簡便法の標準控除というのがあり、この方が控除額が大きい場合、標準控除の方をとります。
標除額は、次の通りです。
税務上ステイタス 控除額
独身者 $ 6,300
夫婦合算申告者 12,600
夫婦個別申告者 6,300
扶養主 9,300

年齢65歳以上、又盲目の人の為の割増し控除
年齢65才以上、又盲目の人には、割増し控除があります。
3. (独身者、扶養主、夫婦合算申告者、夫婦個別申告者、適格寡婦又寡夫)一人当たり$1,250

(個別控除 (Itemized Deductions)
個別控除には、医療費、税金、金利、慈善団体への寄付、災害、盗難損失、仕事に関連する経費、その他経費があります。医療費、慈善団体への寄付、災害、盗難損失、ビジネス関連経費には制限があります。
又調整総所得が高額になると制限があります。その制限は次の通りです。
夫婦合算申告者の場合、$311,300から漸減、独身者の場合、$259,400から漸減、扶養者 の場合、$285,350から漸減、夫婦個別申告者の場合、 $155,650から漸減していきます。

医療費 (Medical Expense)
保険でカバーされない医療費で次のものが控除できます。又、控除額は、調整総所得(Adjusted gross income)の10%を上回る額に限られます。(但し、65歳以上は 7.5%を上回る額)
1. 控除できる医療費
1.1. 医療保険(歯の保険、長期治療保険も含む)
1.2. 調合薬品、インシュリン
1.3. 鍼、カイロプラクター、歯医者、眼科医、職業セラピスト、精神医、心理分析者等の費用
1.4. 医療検査、X線、研究室、インシュリン、ジャクジーバス(医者の薦めが必要)
1.5. 看護費、
1.6. 入院費、クリニック費用、、研究室費
1.7. 適格長期治療費(年齢により、控除額が$240から$2,990まである)
1.8. メデイケア保険のB補助部分
1.9. 禁煙プログラム費用
1.10. 体重減量費用
1.11. 麻薬、アルコール中毒治療費
1.12. 眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器、ブレース、杖、車椅子、誘導犬、
1.13. レーザー治療費
1.14. 治療の為の滞在費、救急車、治療を受ける為の交通費
2. 控除出来ない医療費には、次のものがあります。
2.1. 体重減量の為の食品
2.2. 整形手術
2.3. 生命保険、所得を保護する為の保険
2.4. メディケア税
2.5. 健康なベービーの看護費
2.6. 不正な手術又麻薬
2.7. 調合を要しない薬品
2.8. 休養の為の旅行
2.9. 葬儀、埋葬、火葬費用

税金 (Taxes)
控除出来る税金には、次のものがあります。
1. 州、市個人所得税(当該年度中に支払った予定納税、最終税額、追徴税額)
2. 不動産税(住宅ローンがある時は、銀行から通知がある)
3. 動産税(車の登録フィー、ただし従価部分のみ)
4. その他税金(外国税額)
5. 州に払うセールスタックス(所得控除か税額控除のいずれかの選択が出来る)

金利 (Interest)
控除できる金利には次のものがあります。
1. 住宅ローン金利
2. 投資に関する金利(フォーム4952を提出、投資に関連するローンの金利)

慈善団体に対する寄付 (Gifts to Charity)
1. 宗教、慈善、教育、科学等に関連する寄付であり、次のような団体があります。
1.1. 教会、寺院、
1.2. Boy Scouts, Boys and Girls Clubs of America, CARE, Girl Scouts, Goodwill Industries, Red Cross, Salvation Army, United Way
1.3. 友愛会
1.4. 退役軍人その他の文化グループ
1.5. 非課税学校、病院、その他癌、精神病など特殊な病気を治療する目的の組織、
1.6. 連邦、州、市政府
2. 現金ばかりでなく物品の寄付や上記団体へのボランテイアワークを行なう為の出費、交通費も控除出来ます。交通費は、1マイル当たり14セントの割合で算出します。駐車料、通行料も控除できます。
3. $250以上の寄付をした場合には、寄付をした相手先団体より次の証明書を貰う必要があります。
3.1. 寄付額と物品を寄付した場合には、その物品の説明
3.2. 寄付の対価として団体が、寄付者に何らかの物品、又はサービスを提供したか否かの説明
4. 控除限度額は、次のようになっております。限度額を超える寄付は、次年度以降5年間に繰越しできます。
4.1. 現金を寄付する場合、総調整課税所得の50%
4.2. キャピタルゲインを生ずる資産(例えば株券など)を寄付する場合、総調整課税所得の30%
4.3. 価値の増加した資産、又は資産の使用権利を寄付した場合、
5. 控除できない寄付としては、次のものがあります。
5.1. 政治献金
5.2. カントリークラブ、友愛会などへの会費
5.3. くじ引き券のコスト
5.4. 授業料
5.5. 時間やサービスの提供
5.6. 検血
5.7. 動産の将来権利の譲渡
5.8. 慈善目的でない団体への寄付
5.9. 外国の組織への寄付
5.10. 貴方のビジネスへ直接関係する政治団体への寄付
5.11. 法律改正の為のロビイスト組織への寄付
5.12. 社交、スポーツクラブ、労働組合、商業会議所などへの寄付
6. 寄付額が$500を超える時は、フォーム8283の添付が必要となり、又寄付額が、$5,000を超える時は、物品の額の査定(Appraisal)が必要となります。
7. 物品を寄付する時は、相手団体より、証明を貰う他、自分でも次のものを用意する必要があります。
7.1. 物品額の算出根拠
7.2. 普通所得やキャピタルゲイン部分を減額する必要のある物品を寄付した場合、その資産のコスト又減額の方法

災害、盗難損失 (Casualty and Theft Losses)
盗難、不当破壊、火事、暴風、車、ボートの事故による損失を控除することができます。預けた預金が銀行の破産で損失となった場合も控除できます。フォーム4684を添付します。
控除の条件としては、次のようなものがあります。
1. 1件当たり、$100を超える額
2. 年度中の災害損失の合計額が、総調整課税所得の10%を超える額

仕事関連の経費、その他経費 (Job Expenses and Most Other Miscellaneous Deductions)
通常、ビジネスに関連する経費は、会社が払い戻してくれますが、会社が払ってくれない経費でも調整総所得の2%を超える部分が控除できます。旅費、食事代、接待費等が関係する場合、フォーム2106を提出する必要があります。仕事関連の経費の例としては、次のものがあります。
1. 控除できる経費
1.1. 安全器具、小道具、仕事に必要な備蓄品
1.2. ユニフォーム
1.3. ヘルメット、安全靴、眼鏡
1.4. 身体検査費用(会社が要求)
1.5. プロフェショナル組織の会費
1.6. プロフェッショナル雑誌の購読料
1.7. 人材会社へのフィー
1.8. 自宅のビジネス使用
1.9. 教育費
1.10. 税務申告書作成費用
1.11. 弁護士、会計士費用
1.12. 事務手伝い、事務所費用
1.13. 信託勘定のフィー
1.14. ギャンブル損失(但し、ギャンブル利益までを限度)
1.15. 所得の生ずる資産の災害、盗難損失
1.16. 亡くなった方の相続税
1.17. 年金の投資額の内、回収不可能額
1.18. 障害者の障害に関連する費用
2. 控除できない経費としては次のものがあります。
2.1. 政治献金
2.2. 個人的な弁護士費用
2.3. 紛失した現金又は物
2.4. 勤務中又はオーバータイム時の食事代
2.5. 友達の接待費
2.6. 通勤費
2.7. 家から離れた場所へ1年を超える期間通う旅費
2.8. 教育目的の旅行
2.9. 雇用に関係ないセミナーなどへの出席費用
2.10. クラブの会費
2.11. 養子費用
2.12. 罰金
2.13. 免税所得を稼ぐ費用

税金の計算
所得から経費を差し引いて課税所得が得られますが、税金の計算は添付のテーブルを使って計算します。税金の計算で注意しなければならないのが、通常の税金の他に、代替ミニマム税 (Alternative Minimum Tax) というものがあることです。これは通常の税金を計算する際に色々な経費を差し引きますが、余り経費を引きすぎて税金を異常に少なくするのを避けようとする手段なのです。金持ちが、色々な経費を考えて税金を少なくしようとするのを避ける為に考えられたものと言えます。もう一度、税金計算の算式を示すと次の通りです。

2016年の税率は次の通りです。

2016年度税率

独身者

課税所得 税額 超過額

0 ー $9,275 10% $0
$9,276 ー 37,650 927.50 plus 15 9,275
37,651 ー 91,150 5,183.75 plus 25 37,650
91,151 ー 190,150 18,558.75 plus 28 91,150
190,151 ー 413,350 46,278.75 plus 33 190,150
413,351 ー 415,050 119,934.75 plus 35 413,350
415,051 ー 120,529.75 Plus 39.6 415,050

夫婦合算申告者、適格寡婦(夫)

0 ー 18,550 10% 0
18,551 ー 75,300 1,855.00 plus 15 18,550
75,301 ー 151,900 10,367.50 plus 25 75,300
151,901 ー 231,450 29,517.50 plus 28 151,900
231,451 ー 413,350 51,791.50 plus 33 231,450
413,351 ー 466,950 111,818.50 plus 35 413,350
466,951 ー 130,578.50 plus 39.6 466,950
夫婦個別申告者

0 ー 9,275 10% 0
9,276 ー 37,650 927.50 plus 15 9,275
37,651 ー 75,950 5,183.75 plus 25 37,650
75,951 ー 115,725 14,758.75 plus 28 75,950
115,726 ー 206,675 25,895.75 plus 33 115,725
206,676 ー 233,475 55,909.25 plus 35 206,675
233,476 ー 65,289.25 plus 39.6 233,475
扶養主

0 ー 13,250 10% 0
13,251 ー 50,400 1,325.00 plus 15 13,250
50,401 ー 130,150 6,897.50 plus 25 50,400
130,151 ー 210,800 26,835.00 plus 28 130,150
210,801 ー 413,350 49,417.00 plus 33 210,800
413,351 ー 441,000 116,258.00 plus 35 413,350
441,001 ー 125,936.00 plus 39.6 444,000
代替ミニマム税 (Alternative Minimum Tax)

1. 代替ミニマム税は、個別控除の中の医療費、税金、その他経費又他の特定控除項目などを加算(Add back)して、代替ミニマム課税所得を計算、免除額を差し引き、税率を掛けて算出します。算式は次の通りです。

1.1. ステップ1(代替ミニマム課税所得-免除額)x 26% =(暫定代替ミニマム税)
1.2. ステップ2(暫定代替ミニマム税)-(通常税金)= 代替ミニマム税
1.3. 26%の税率は、課税所得額が$186,300以下、 夫婦個別申告者の場合、$93,150以下、それ以外は、28%
2. 免除額は、次の通りです。
ファイリングステイタス 代替ミニマム課税所得 免除額
独身又は扶養主 $119,700 $53,900
夫婦合算申告者又は適格寡婦 (夫) 159,700 83,800
夫婦個別申告者 79,850 41,900
3. 通常の課税所得に加算される個別控除の中の経費及びその他の控除項目は次の通りです。
3.1. 医療費(個別控除で差し引く医療費純額か調整総所得の10%のいずれか低い額)
3.2. 税金(個別控除)
3.3. その他経費(個別控除)
3.4. 投資金利(AMTと通常所得の差)
3.5. 減耗償却
3.6. 繰越損失
3.7. 免税特定私募債の金利
3.8. 適格小企業株式(税法1202条の元で除外された7%)
3.9. インセンテイブストックオプション(AMT所得が通常所得を超える額)
3.10. エステート、トラスト
3.11. 大規模パートナーシップ
3.12. 資産処分(AMTと通常所得の差)
3.13. 1986年以降の資産償却(AMTと通常所得の差)
3.14. 消極的投資活動(AMTと通常所得の差)
3.15. 損失限度(AMTと通常所得の差)
3.16. 頒布コスト(AMTと通常所得の差)
3.17. 長期契約(AMTと通常所得の差)
3.18. 発掘コスト(AMTと通常所得の差)
3.19. 研究開発コスト(AMTと通常所得の差)
3.20. 割賦販売所得(AMTと通常所得の差)
3.21. 無形ドリルコスト
3.22. 代替税損失控除

税額控除 (Tax Credits)
税金が算出された後、税額控除額を差し引きます。税額控除には、次のものがあります。

低所得者勤労所得税額控除 (Earned Income Credit-EIC)
1. 25才から65才までの低所得勤労者に対して、税額控除が与えられます。低所得としては、次のような規定となっております。
1.1. 子供がいない独身者、扶養主、寡婦 (夫)の場合、総調整所得が$8,270以下の所得
1.2. 子供が一人いる独身者、扶養主、寡婦 (夫)の場合、 $18,190以下の所得
1.3. 子供が一人いる者、$39,296以下の所得
1.4. 子供が1人いて夫婦合算申告する者、 $44,846以下の所得
1.5. 子供が二人以上いる者、$50,198以下の所得
1.6. 子供が二人以上いて夫婦合算申告する者、$53,505以下の所得
2. 但し、投資所得(利子、配当、キャピタルゲイン、動産の賃貸所得、ロイヤルテイー所得、不動産賃貸を含む投資活動から生ずる所得)が$3,300以上ある者は、除外されます。子供の条件としては、次のものがあります。
2.1. 自分の子供、孫、まま子、兄弟、養子の子供等
2.2. 19才以下の子供(子供が学生の時は、23才以下となります)
2.3. 年の半分以上の同居を必要とします。
2.4. 子供が身体障害者の場合、年齢に関係なく、税額控除がとれます。
2.5. 子供が結婚していて、扶養者でない場合、除外されます。税額控除をとる場合、その子供は、この税額控除はとれません。二重取りになるからです。
あなたが結婚している場合、この税額控除をとる為には、夫婦合算申告をしなければなりません。所得限度額の計算では、夫婦の合算所得が対象となります。年度中の6ケ月間、家族の一員でない為に既婚者とならない者は、独身者、又は扶養主として申告することで税額控除がとれます。
3. 勤労所得とは、所謂、給与所得であり、次のものは含まれません。
3.1. 利子
3.2. 配当
3.3. 貧困者救済手当て(Welfare benefit)
3.4. 年金
3.5. 離婚手当て
3.6. 社会保障年金
3.7. 労災保険
3.8. 失業保険
4. この税額控除の計算は、2段階で行ないます。
4.1. 第一段階は、勤労所得に見合う税額控除額をテーブルから拾ってきます。
4.2. 第二段階は、総調整課税所得額に見合う税額控除額をテーブルから拾ってきます。
4.3. この二つを比較していずれか低い税額控除額の方を勤労所得税額控除として申告書に記載します。
自営業者にもこの税額控除は同じような方法で適用されます。

子女税額控除 (Child Tax Credit)
1. 子供一人につき、$1,000の税額控除があります。この税額控除を受ける為には、二つの条件があります。
1.1. 被扶養者である子供の年齢が、17才以下
1.2. 米国市民か永住者
2. 子供には、自分の子供ばかりでなく、養子、孫、ひ孫、まま子、里子も含まれます。他の税額控除と同じく、所得の額により漸減、控除額は調整総所得 (AGI) $1,000につき$50の割合で減額されます。減額が始まるのは、次の通りです。
2.1. 夫婦合算者の場合、$110,000から
2.2. 独身者、扶養者の場合、$75,000から
2.3. 夫婦個別申告者の場合、$55,000から

3. 計算は、次の通りです。
3.1. 子供人数x$1,000=暫定子女税額控除
3.2. 調整総所得-上記限度額=限度超過所得
3.3. 限度超過所得($1,000単位に繰り上げた額であり、例えば、$2,350は$3,000とする)x 5%=調整率
3.4. 暫定子女税額控除額x調整率=調整額
3.5. 暫定子女税額控除-調整額=最終子女税額控除
4. 子供が3人以上いて、所得が少なすぎて税額控除をとることができない場合、特に、フォーム8812を提出することで、追加の税還付を貰うことができます。子沢山の家族に対する優遇策と考えられます。

養子に関連する税額控除等 (Adoption Credit)
1. 従業員が働いている会社が福利厚生プランの一つとして養子を貰う場合の費用を払う場合、$13,460まで所得から除外することができます。又、自己負担の費用については、$11,390まで税額控除があります。この税額控除は、米国市民、永住者である子供を養子とする場合にも適用されます。
2. 費用として認められるのは、次の通りです。
2.1. 養子を貰う為のフィー
2.2. 裁判所費用
2.3. 弁護士費用
2.4. 旅費(食事代、宿泊費を含む)
2.5. その他
3. 養子として貰う子供の条件としては、次のものがあります。
3.1. 18才未満の子供
3.2. 身体的に又は精神的に自立できない子供
4. 州法に違反するような場合、控除を取ることができません。例としては、次のような場合があります。
4.1. 代理母の契約をして養子にする場合
4.2. 配偶者の子供を養子にする場合
4.3. 税法上、他の分野で既に所得又は税額控除をとっている場合
5. 特別看護を必要とする子供の場合、養子を貰う為の費用が無くても、$11,390の税額控除又所得控除がとれます。
6. 特別看護を必要とする子供としては、次の条件があります。
6.1. 子供が親と同居できない又はするべきでない
6.2. 財政的援助がなければ、子供の人種、マイノリテイー、年齢、身体的、精神的ハンデイキャップなどの理由で養子として貰われる可能性がない
7. 所得控除、税額控除には、次のような条件がつきます。
7.1. 養子にしようとする努力が2年以上にまたがる時には、全部で$11,390となります。
7.2. 子供が米国市民か永住者の場合、養子にすることが出来なかった場合にも、控除出来る。ただし、最初の子供を養子にできなくて、次の子供を養子にできた場合、合計額が、$11,390の限度計算に適用されます。
7.3. 二人以上の子供を養子にする場合、一人一人の子供に掛かった費用が$11,390の計算の対象になります。

8. 所得が増えるにつれて、控除額は減額されます。減額の開始は、次の通りです。総調整課税所得 (Modified Adjusted Gross Income – MAGI) とは、IRAの拠出金を決定するときに基準額として使われます。計算は、AGIに外国での稼得所得、学生ローンの金利、IRAの拠出金、高等教育のための教育費を足し戻して計算します。
8.1. MAGIが$201,920以下の場合、全額控除
8.2. MAGIが$241,920以上の場合、控除なし
8.3. MAGIがこの中間にある場合、漸減する
9. 提出するフォームとしては、フォーム8839があります。
10. 外国から子供を養子とする場合、次のような条件があります。
10.1. 養子が決まった年度で控除します。
10.2. 又養子がうまくいかなかった場合には、控除できません。
11. 税額控除を使いきれなかった場合、5年間繰越しができます。
12. 養子にする子供の社会保障番号又は納税者番号を取得出来なかった場合、フォームW-7を使って養子の為の特別番号をとる必要があります。

低所得高齢者、傷害者税額控除 (Credit for the Elderly or the Disabled)
1. この税額控除は、次のような者に与えられます。
1.1. 65才以上の老人
1.2. 65才未満でも、永久に身体不具者になって退職した者で傷害保険を貰う者
1.3. 米国市民か永住者
2. この税額控除は、所得が一定額を超えると無くなります。その額は、次の通りです。
2.1. 独身者―総調整課税所得が$17,500以上又は$5,000以上の社会保障額を貰っている場合
2.2. 夫婦合算申告者で夫婦のいずれかがこの税額控除の対象になる―合算総調整課税所得が2万ドル以上又は$5,000以上の社会保障額を貰っている場合
2.3. 夫婦合算申告者で夫婦共にこの税額控除の対象になるー合算所得が$25,000以上又は$7,500以上の社会保障額を貰っている場合
2.4. 夫婦個別申告者―総調整課税所得が$12,500以上又は$3,750以上の社会保障額を貰っている場合
3. 税額控除の計算は次の通りになります。
3.1. 税額控除の出発点として、次の額が想定されます。
3.1.1. 独身者か夫婦合算申告者で夫婦のいずれかが税額控除を貰う資格がある場合、$5,000
3.1.2. 夫婦合算申告者であり、夫婦共に税額控除の資格があり、夫婦共に控除を求める場合、$7,500
3.1.3. 夫婦個別申告者の場合、$3,750
3.2. この暫定税額控除額から、下記のような金額を差引いて、その差額に15%を掛けて税額控除額を算出します。
3.2.1. 年金、傷害保険等のベネフィット(所得から除外された額)又課税されない社会保障年金等
3.2.2. 総調整課税所得額、一定限度額を超える部分の半分
3.3. この一定限度額とは、次のような額です。
3.3.1. 独身者の場合 $7,850
3.3.2. 夫婦合算申告者の場合 $10,000
3.3.3. 夫婦個別申告者の場合 $5,000

教育関連税額控除 (Education Credits)
1. 教育関連税額控除には、次のものがあります。フォーム8863を使用して計算します。
1.1. ホープ奨学金に関連する税額控除 (Hope Credit)
1.2. 生涯学習税額控除 (Lifetime Learning Credit)

アメリカの機会税額控除 (American Opportunity Credit)
1. アメリカの機会税額控除は、次のような条件があります。
1.1. 貴方か、貴方の配偶者が扶養者であり
1.2. 大学の最初の1年目か2年目の少なくとも半分以上在籍していること
2. 税額控除の額は、次の通りです。
2.1. 一人の学生につき最高$2,500まで。
2.2. 支払い税が発生しない場合でも40%の機会税額控除を還付できる。

3. 学生の条件としては、次のものがあります。
3.1. 大学の年間期間の少なくとも半分は在籍していること
3.2. 学位を取るコースを履修していること
3.3. 年始の時点で大学在籍が4年間を超えていないこと
3.4. 過去に American Opportunity Credit もしくは Hope Credit を4回控除していないこと3.5ドラッグ服用の罪を冒していないこと
4. 費用として対象になるのは、次の費用です。
4.1. 学費
4.2. 出席に要するフィー
4.3. 教科書代その他出席に係る費用
5. 漸減額
5.1. 独身、扶養主、寡婦(夫)の場合 MAGI が$80,000-$90,000
5.2. 夫婦合算の場合 MAGI が$160,000-$180,000

生涯学習税額控除 (Lifetime Learning Credit)
1. この税額控除は、次のような者に与えられます。
1.1. 大学、大学院、プロフェッショナル学位、証明書を取る者
1.2. 自分自身、配偶者、扶養者
2. 又、この税額控除は、次のような特長があります。
2.1. 税金申告書一つにつき、$2,000まで。
2.2. もし家族の中に適格者の学生が二人おり、一人が機会奨学金の税額控除を貰う場合、もう一人がこの生涯学習税額控除をとることができる。ただし、一人の人が二つの税額控除を取ることはできない。
2.3. 学費とフィーにのみ適用される。

3. 暫減は、次のように計算します。
3.1. 独身者の場合、MAGIが$55,000-$65,000、夫婦合算申告申告者の場合、$110,000-$130,000と課税所得の差額を計算する
3.2. その差額を独身者の場合、$10,000、夫婦合算申告者の場合、$20,000で割る
3.3. その割合を税額控除額に掛けて、その額を控除額から差引く

教育個人貯蓄アカウント (Coverdell Education Savings Accounts)
1. この教育個人貯蓄アカウントは、所得控除にはなりませんが、そのアカウントから生じる所得を教育費用に無税で使用することができ、次のような特長を持っております。小さい子供がいる家庭は、同じ銀行預金をするなら、この貯金をしておくと、将来助かるということです。
1.1. IRSの承認する銀行等に子供一人ずつアカウントを開く。
1.2. おのおのの子供が一つ又はそれ以上のアカウントを持ち、一人$2,000まで拠出出来る。
1.3. 一人以上の人が拠出出来るが、総額$2,000を超えてはいけない。
1.4. 子供が18才になった時点で、拠出は出来なくなる。
1.5. 子供の為に州の学費プログラムに拠出した年度には、このアカウントに拠出出来ない
1.6. 子供の小学校、中学校、高等学校又は大学の出費の為に、このアカウントとの所得から無税で支払うことが出来る
1.7. このアカウントへの拠出金は控除できない。しかし、それから生み出される所得を教育費に使っても税金が掛からない。
2. 所得が増えるにつれて、この$2,000の拠出額は、暫減します。その額は次の通りです。
2.1. 独身者―MAGIが$95,000から$110,000
2.2. 夫婦合算申告者―MAGIが$190,000から$220,000
3. 暫減の計算は、次のようにして行ないます。
3.1. 独身者の場合は、$95,000、夫婦合算申告者の場合は、$190,000を所得から差し引く。
3.2. その差額を独身者の場合は、$15,000で割る、又夫婦合算申告者の場合は、$10,000で割る。
3.3. その割合を$500に掛けて拠出額を計算する。

その他の税金
1. その他の税金として次のものがありますが、これらを上記で算出した税金に加算します。その額が税金の総額になります。この税金から年度中に支払った源泉税、予定納税を差し引いた残りが追加税額か還付税額になります。源泉税、予定納税の他に、勤労所得税額控除、二つ以上の会社で働いた場合の社会保障税の過払い、追加子女税額控除なども差し引くことができます。
2. その他の税金は次の通りです。
2.1. 自営業者税(従業員の社会保障税に相当する)
2.2. チップ所得の社会保障税、メデイケア
2.3. IRA,その他年金プランの税金
2.4. 勤労所得税額控除前払い分
2.5. 家内労働者税
2.6. 純投資所得税 (Net investment income tax)
金持ちは、いろいろな投資をして利益を上げます。利子、配当、キャピタルゲインなど、それぞれに税金を払っております。その上に、2013年から純投資所得税という税金を掛けるようになりました。MAGI が一定基準額を超過する純投資所得を計算します。一定基準額とは次の通りです。夫婦合算申告者の場合、25万ドル、夫婦個別申告者の場合、12万5,000ドル、その他の場合、20万ドルです。この調整総所得額が一定基準額を超過する額と純投資所得額を比較していずれか低い方に3.8%をかけて税金を計算します。フォーム8960で純投資所得の計算をすることになります。

米国財務省に提出が要求される報告書
昔、個人税務申告書の中に、海外金融資産を1万ドル以上もっているかという質問があり、それに対してYes/Noを答え、もし海外金融資産があれば、TDF90-22.1というフォームに情報を記載していました。2013年からこのTDF90-22.1に代わって、米国財務省(Department of the Treasury)は下記に該当する者に対し、フォームFinCEN Form 114の提出を要求しています。このフォームは、BSAのウエッブサイトにしかありません。BSA E Filing Systemと言う名前でオンラインで情報を記入して提出しなければなりません。BSA は、Bank Secrecy Actの略です。米国外に銀行口座および証券投資口座、キャッシュ バリュー (現金価値) のある保険等金融口座を有する者で、個人の年間最高残高の合計が$10,000を超えた場合、全ての外国金融口座についての情報をそのフォームにて報告することになります。報告書は個人単位での提出が必要で、送付先はIRSではなく財務省になります。フォームにも明記されていますが、この報告を怠ると、1万ドルのペナルテイー、悪意がある場合には、10万ドルか残高の50%のいずれか大きい額をペナルテイーで支払わなければなりません。とにかく面倒な報告であり、オンラインで報告になりますので、慣れない人達は、専門の会計士事務所に任せた方がよさそうです。更に、個人所得税申告書を作成する時にも、海外金融資産口座が$50,000を超えた場合(夫婦合算の場合$100,000)、報告義務があります。個人税務申告書の中で記入するフォームは、8938になります。海外金融資産は同じなので、二度、同じような情報を報告しなければならないのです。こちらは、個人の税務申告書にフォーム8938を添付して提出することになります。

参考資料として添付するフォーム

Form 1040
Form 1040NR
Form 8938
Form 8960
Form FinCEN Form 114

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