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新しいオーバータイムの規則

2016年5月18日に、労務省 (Department of Labor) は公正労働基準法 (Fair Labor Standards Act (FLSA) ) の元でのオーバータイム (残業代) の新しい規則を発表しました。この新しい規則の実施日は2016年12月1日です。そしてこの規則は、ホワイトカラーの多くの労働者がオーバー タイムの規則から外れていたのを改定するのが目的です。工場の労働者や店の販売員などの職種の人達は含まれません。実際、ホワイトカラーの多くの労働者が、従来、オーバータイムの支払いを受けていなかったのです。デパートやその他の業種の会社で名前はマネージャーとついているのですが、安い給料で働いている人達が多くおり, この人達がオーバータイムを受け取っておりませんでした。このような人達にとってオーバータイムの支給は大変いい朗報なのです。改正点は次の通りです。

改正点

1. 所謂、“免除されるホワイトカラー (White color exemptions)”と言われる人達の給与の限度額が1週455ドルから913ドルと ほぼ2倍の金額に上がります。年間では23,660ドルから47,476ドルへ引き上げになるのです。

2. “高額所得者 (highly compensated)” の限度額は、100,000 ドルから134,004ドルへ引き上げられます。

3. このオーバータイムの基準額は、3年ごとに改正されることになっており、次回の改正は2020年1月1日になっております。其の時点でのホワイトカラーの限度額は、51,000ドルになっております。

4. 従業員の基準給与額の10パーセントに相当する額がボーナスやインセンテイブ報酬、コミッションからなっており、四半期ごとに支払われております。この新しい規則が出て、雇用主は給与以外の所得を利用してこの限度額を調整することが考えられます。
オーバータイムを貰う人達が増えるので、雇用主たちはオーバータイム コストの額を検討する必要があり、給与額を上げたり、従業員のクラスを変更したり、あらゆる手を使って影響を少なくしようと試みることが考えられます。 このオーバータイムの規則の改正は年金に対しても影響を与えます。

オーバータイムが年金プランの報酬の中に入る場合

雇用主はオーバータイムが、どのように年金プランの影響するかについて検討する必要があります。オーバータイムを報酬に入れると言う規定になっている401(k)プランやその他の年金プランの場合、その影響は少なくありません。多くの年金プランの場合、報酬の規定が必ずしも詳細に決まっておらず、例えば報酬はW-2の金額と言うような規定になっております。W-2は年度末の給与明細のことですが、そこに記載されている報酬額を年金プランのベースになる報酬としているのです。このような場合には、オーバータイムが報酬の中に入れられております。オーバータイムが報酬の中から除外されて規定している年金プランもあります。しかし、問題は、このようなオーバータイムの除外が労働者の待遇の差別問題に関係して来ないかというです。この新しい規則によって、オーバータイムの支払いによる報酬が増加することがどのように年金プランの待遇の差別問題に関係してくるかを検討する必要があります。年金プランの報酬の規定を修正してオーバータイムを除外しようとする雇用主は、待遇の差別問題のほかに、別の法律上の問題なども検討する必要があるでしょう。従業員のステイタスを変更することを考えている雇用主は、例えばサラリー ベースか時間ベースかのステイタスの基準を決める為に十分な考慮が必要になるのです。この規則の改正で、オーバータイムを支給される労働者が増えるので、その影響については、慎重に検討する必要があります。

山口 猛、パートナー
Yamaguchi Lion LLP

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